dynasty 3

ライナーを書かせてもらったビル・ウルファーと同じ、【ソーラー・レコード・オリジナル・マスター・コレクション】1月発売分からの日本初CD化作品。シャラマーやウィスパーズ、レイクサイド、ミッドナイト・スターらのようにレーベルの看板には成り得なかったものの、レーベル内では彼らに劣らぬ存在感を示したグループがダイナスティである。81年にリリースされたこのアルバムは、『THE SECOND ADVENTURE』というタイトルとは裏腹に、実は彼らの3作目。前作『ADVENTURES IN THE LAND OF MUSIC』から2曲のダンス・チューンがヒットしたため、その続編であることをアピールしたのだ。

ダイナスティの結成メンバーは、ニドラ・ビアード、リンダ・キャリエールという女性シンガー2人と、ケヴィン・スペンサー、ウィリアム・シェルビーというkyd兼任の男性シンガーの4人。リンダは日本のアルファ・レコードで、細野晴臣のサウンド・プロデュースによるソロ・アルバムを完成させたが、レーベル・トップの村井邦彦の判断でお蔵入り。関係者にだけ配布されたサンプル白盤は、今やオークション市場で10〜20万円を下らない有名な激レア・アイテム担っている。日本でのソロ・デビューを棒に振った彼女が帰国し、L.A.で参加したのが、このダイナスティであった。

もうひとつ興味深いのが、ソーラー・レーベルの制作体制。この頃の中堅レーベルには、大抵どこもハウス・プロデューサーや専属ミュージシャンを抱えていたものだが、ソーラーの場合は自社所属グループから有能なミュージシャンをピックアップし、それを他のアーティストの制作に当てがう社内賄い体制を採っていた。その中核にいたのが、シルヴァーズ出身のレオン・シルヴァーズ・III。元々はダイナスティはレオンの傀儡グループとして組まれた面があり、この3枚目から彼自身がメンバーに参加。いきなり5人のセンターに立ってデカイ顔をしている。この時シンガーのニドラは、レオンの奥様に。裏ジャケには総勢10人が映っているが、これはダイナシティのツアー・バンドということだろう。アルバムのクレジットには、ミッドナイト・スターやレイクサイドのメンバーの名前もある。

とにかく、ソーラー全盛期のサウンド・メイクを支えたレオン・シルヴァーズ・III の、実質的リーダー・グループだ。<Here I Am>や<Love In The Fast Lane>といったダンス・ヒットの爆裂ぶりは筆舌に尽し難く、まさに最強。ダイナスティがこのあと徐々に失速し、ソーラー・サウンド自体が多様化に向かっていくことを考えると、本作はソーラーが最もソーラーらしかった時代の終焉を飾ったアルバムと言えるのかもしれない。