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今月後半は怒涛のライヴ週間。早くにチケットを買っていたり、仕事絡みだったり、お付き合いだったりが重なり、2週間で10本ほど。行きたいのにゴメンナサイしたライヴもあったが、今夜は運よくジャンク フジヤマのAOR Night に。 ここのところのジャンクのジャズ・ライヴはなかなか足が運べなかったが、やはり彼がAORを歌うなら見逃せません

そういうオーディエンスが多かったのか、今回の公演は、立ち見まで多数出る盛況ぶり。メンバーもポンタさん(ds)、岡沢章(b)、天野清継(g)といったキャリア組に、大坪稔明・福田樹子(kyd)、寺地美穂(sax)という気鋭の中堅・若手、そして神谷樹・KAZCO(cho)という強力布陣だ。考えてみれば、AOR世代ド真ん中のミュージシャンが抜けてる気もするが、ヨット・ロックなんてモノが世を賑わせている昨今、オンタイム派にありがちなコダワリすぎは返って足かせになりかねない。そういう意味では、ジャンクがMCで言ってた通り、“自分の考えるAOR” で良いのだと思う。

かくして、プレイリストは以下の通り。
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このように、ひとクチにAORといってもかなり幅広く、しかもガチガチのロック系AORは少なくて、メロウだったりシットリ系だったり…のセレクトが多い。とりわけ<Seeing You>と<Her Town Two>は、他のAORコピー・バンドでは聴けないチョイス。<Undercover Angel>や<I Just Wanna Stop>を歌うのは初めてではなく、以前のライヴのカヴァー曲コーナーで取り上げたものの再演になる。でもこのようなミディアム〜スロウ・ナンバー中心のセットリストになるのは、取りも直さず “AORと言えどもオレのヴォーカルが中心だよ〜” という自信の表れではないか。

ただ一方で、メンバーには勝手に振る舞うポンタさんもいるワケで(苦笑)、演奏そのものはコピーでなしに自由度は高く。だから<Georgy Porgy>のドラムもハーフタイムは刻まず、サラリと流した感じになる。つい先週 武道館で観たTOTOは、この曲をアコースティック・セットで披露したが、実は現ドラマーのシャロン・フィレストはジェフ・ポーカロ・シンパだけあり、周りがサラリと流しても、彼だけは軽めながらチャンと16でハイハットを打っていた。こうした違いは、やはりオリジナルやジェフに対する思い入れの強さから来るのだろう。

2ndセットの<Alfie>は、ジャンクがスタンダード・ジャズ中心のライヴ・アルバムを出したばかり、というタイミングゆえ。デュエット・ソング<Don't Know Much>は、最近知り合ったらしいbAe(ベイ)という美系でイイ歌声の女性若手シンガーをフィーチャーして。ポップな<How Do I Survive>が彼女の持ち味に合っていたかどうかはチョイと疑問だけど、これから注目したいシンガーである。が、一転してリオン・ウェア<Words Of Love>は、少し渋すぎないかぁ〜 個人的にはうれしい選曲だけれど…

そして、ジャンクのオリジナル作品で最もAOR度が高い<Wandering Again>。まるでジノ・ヴァネリみたいなこの曲は、この日プレイしたどの曲よりも演奏の完成度が高かった。書いたのは、以前ジャンクのサポートで kydを弾いていた宮崎祐介クン。彼は今、“本気でAOR NIght” の kyd奏者でもあるので、なんか皮肉だなぁー そして最後の<風のシルエット>では、事務所を同じくする Fire Hornsからアツキ(tr)とトッチ(tb)が飛び入りし、熱くもメロウな終焉となった。

アンコールは当然ジャンクのアタリ曲が来ると思ったら、意表をついての吉田美奈子<恋は流星>。これにも小躍りしましたわ。

イイ歳のアマチュア・バンドの間では、以前からAORのコピー・バンドが少なくなかったけれど、昨今のAOR再評価の追い風もあってか、最近はプロのセッション・ミュージシャンが半ば本気でAORをカヴァーするパターンが増えてきた。先行していたベテラン揃いの “本気でAOR NIght” に、それを追うように現れた若手×ベテランに女性シンガーが乗る5人組のAORプロジェクト、そしてこのジャンクの sings AOR が主だったところか。もちろん“本気でAOR Night” は、今や全国ライヴ・ハウス・ツアーを大成功させる程の人気ぶりで、他を引き離している感がある。でもコレらをひと通り観てみると、それぞれのポイント、良きところと問題点が見えてくる。

前述のようにジャンクの所はヴォーカルが強力な反面、演奏はコピーにこだわらず幅を持たせている。対して本気組は、実力派が完コピを謳い、演奏はほぼほぼパーフェクト。それなのにコーラス不在で歌が弱く、いつになっても同期で賄っているのがメチャメチャ残念。顔見知りが多いだけに指摘しづらいけど、耳の肥えたオーディエンスが多いから、みんな内心で同じような気持ちを持っている。あの演奏に女性コーラスでも付いて、曲によって女性アーティスト曲もこなせるようになったら、それこそ鬼に金棒なんだけどな。今までのプロのAORコピ・バン独壇場が崩れつつある今、そこは修正するのが肝要だろう。

そして三茶の小ぶりなライヴハウスに出没する5人組は、若手メンバーのセンスを発揮してか、ジャンク以上に選曲が今っぽい。なおかつ、レア・グルーヴ世代以降の若手AORファンが馴染めるようなノリの良さを併せ持ち、女性シンガーに加えてギタリストもかなり歌えるのが強みだ。やっぱりAORのカヴァーをやる時には、演奏は良くて当たり前。そのうえに何処までヴォーカルを充実させられるかがキモだと思うな。

いずれにせよ、プロのセッション・ミュージシャンたちが一生懸命に憧れのAORチューンをコピー/カヴァーして、みんなでAORシーンの再浮上に繋げていくのがベストの展開。そして何より、演る方も聴く方も、みんなが楽しめればサイコーなのよ。

さて、今回のジャンクの sings AORは満員御礼だったので、早速2回目も決定している。
ジャンク フジヤマ sings AOR - Special Moment #2 -
5月25日(土) 場所は同じ目黒ブルース・アレイ・ジャパン。
今回見逃した皆さんは要チェックよ。

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