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昨日のポストが杉(真理)さんのソロ40種周年記念の新作で、今日はそこに参加していた(竹内)まりやの40周年記念リイシューって、なかなか美しい流れだな
ってなワケで、まりや復刻シリーズも第4弾まで進んで、80年12月発売の『Miss M』。アナログA面がL.A.録音でデヴィッド・フォスターとジェイ・グレインドンのアレンジ、B面はまりやのオリジナル楽曲を中心にした国内録音。当時のカナザワはエアプレイにドンズバでハマっていたし、まりやのライヴも見に行ってたくらいなので、このアルバムが出た時にはかなり興奮したのを覚えている。

フォスター&グレイドンが招集したのは、ジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ルカサー、デヴィッド・ハンゲイトのTOTO勢に、ビル・チャンプリン、トム・ケリーらのコーラス陣、それに弦・管アレンジにグレッグ・マティソンなど。そうなると、クレジット買いするリスナーは当然色めき立つワケで。フォスター&グレイドンが初めて日本人シンガーと仕事をしたのは、来生たかお『ジグザグ』だったけれど、2人の名前がシッカリ認知されてからのワークスとしては、コレが最初だった。まりあ自身は、「『LOVE SONGS』でひと回りしたので、何か違うこと、時代の気分に沿って自分のやってみたいことをやろう」と言うモードで作ったとか。その時代の最先端の象徴が、フォスター&グレイドンだった。

ピーター・アレンとデヴィッド・ラズリーが共作し、近年 Superfly がリメイクした<Sweetest Music>。アラン・オデイの英詞に、この頃交際を始めたらしい山下達郎がメロディを付けた<Every Night>。これも達郎の詞曲で、彼自身『FOR YOU』に収める<Morning Glory>。フォスターとグレイドン、マーク・ジョーダンか書き下ろした<Secret Love>(グレイドン『PAST TO PRESENT - The 70's』でマークが歌うデモ版が聴ける)。ロジャー・ニコルスの楽曲にまりやが歌詞を乗せ、後にカレン・カーペンターもレコーディングした<Heart To Heart>。この5曲がL.A.録音だ。<Morning Glory>は帰国後に安部恭弘アレンジによるコーラスがダビングされ、epoや本作プロデューサー:宮田茂樹がマイクに向かった。宮田氏はRCAでまりやや大貫妙子、EPOらを育てたハウス・ディレクター。後にミディ・レコードを立ち上げたことでも知られるが、実は東大在学中に男女5人組のコーラス・グループ:リバティ・ベルズでデビューしていて、一時は南沙織のバック・コーラスも務めていた。我々はどうしてもまりやの歌と TOTO/エアプレイのサウンドに気持ちが行ってしまうけれど、実はその前段階でこれだけの名曲を揃えた点に、このL.A.録音のホントの成功の鍵があったと思う。エアプレイ/TOTO勢の貢献は、その後のステップなのだ。

国内で録った4曲中3曲はまりやの詞曲で、2曲はノブさんこと清水信之のアレンジ。ラストのバラード<Farewell Call>は、清水(kyd)、青山徹(g)、野口明彦(ds)、渡辺モリオ(b)、中西康晴(pf)、epo(cho)という当時のツアー・メンバー+達郎という面々で録音している。今再発のボーナス・トラックには、<二人のバカンス>、<Secret Love>、<Sweetest Music>、そして<Farewell Call>のライヴ・ヴァージョンが収録されているが、もしかしてこのツアー・メンバーでのライヴ録音かしらね? A面の L.A.セッションがカラッとしたひとつの色で統一されている分、B面はポップだったり、ジャジーだったり、メロウだったりと、まりやのアザー・サイドを描き出しながら、ソングライターとしての彼女の成長を伝えている。

そして、日米セッションの間を取り持つようなポジションにあるのが、本作からの最初のシングル<二人のバカンス>。収録もB面トップで、まさに重要な繋ぎ役。作編曲は<September>を書いた林哲司で、詞はまりや。この曲ではフォスター・フリークだった林さんの持ち味全開で、音だけ聴いたら、ココまでがL.A.レコーディングかと思うほどだ。ギターのリフ(鈴木茂)もドラムのオカズ(島村英二)も、ほとんど林さんの指示ではないかと思われるが、それをみんなが面白がってプレイしている空気が伝わってくる。売れているからパクるのではなく、新しくてカッコ良いから自分たちも取り入れ、やがて消化していく。それは創造的アクティヴィティの一環なのだ。

セールス的には、大ヒットした『LOVE SONGS』には及ばなかったものの、カナザワ的には一番ドップリ聴き込んだ まりや作品。言うまでもなく、最新リマスターで音もスッキリ良くなった。今度 宮田さんにお目に掛かったら、裏話でも訊いてみたいな。