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身内の不幸に続いて、かの内田裕也さん、サーフィン・ホットロッドの名ギタリスト:ディック・デイル、とミュージシャンの訃報も相次ぎ、何だかなぁ…と塞いだ気分になるが、個人的に刺さったのは、このマイケル・ワイコフ死去のニュースだった。3月13日に膵臓がんで。享年67歳(63歳説もある)。

ワイコフはカリフォルニア州トーランス生まれのシンガー/キーボード奏者。注目されるキッカケは、1976年にスティーヴィー・ワンダー『SONGS IN THE KEY OF LIFE』に参加したことで、インディ・レーベルを経て、80年に1stアルバム『COMETO MY WORLD』をリリースした。が、これは期待されたほどの成果を残せずじまい。そこで82年の2作目『LOVE CONQUERS ALL』では、1作目で一部アレンジを担っていたウェブスター・ルイスをプロデュースに迎え、デヴィッド・T.ウォーカー/アル・マッケイ(g)、ジェイムス・ギャドソン(ds)、ネイザン・ワッツ(b)』などの布陣でレコーディング。R&Bチャート54位と、まずまずの成績を残した。

今でこそ、リオン・ウェアとゼイン・グレイの共作曲<Looking Up To You>(オンタイムではR&B47位)が有名になり、それを収録している『LOVE CONQUERS ALL』がワイコフ代表作とされる。でもそれはジャネイが93年に<Looking Up To You>をサンプリング・ソースにして<Hey Mr.D.J.>を大ブレイクさせたため。それ以前は、最大のヒット曲<Tell Me Love>(R&B23位)を含む3rd アルバム『ON THE LINE』(83年)こそワイコフの看板アルバムで、ワールドワイドではコチラが先にCD化されていた。プロデューサーは前作同様ウェブスター・ルイス、メンバーもギター以外はほぼ被っている。それに加えてコ・プロデュースにロバート・ライト、バック・ヴォーカルにフォンジ・ソーントンやエムトゥーメイのタワサ、フィリップ・バロウ、ミックスにマイケル・ブラウワーなど、ニューヨークはルーサー・ヴァンドロス周辺のスタッフが関わって、よりアーバン・ファンク色濃厚な内容になった。メロウ度は『LOVE CONQUERS ALL』の方が上が、個人的には『ON THE LINE』の方がリアルタイムで聴き込んだので、愛着があるなぁ。

大手RCAとのソロ契約が切れた後も、ボビー・ウーマック『THE POET II』などに参加していたワイコフだが、時流には乗り遅れ、クスリやアルコールに溺れて一時はホームレスにまで落ちぶれたらしい。でもその後は無事に更生し、L.A.の教会を拠点にゴスペル方面の活動を行なっていたとか。息子はDJ Michaek Wycoffとして活躍している。

『LOVE CONQUERS ALL』はこれまでに何度かCD復刻され、日本で出た紙ジャケのアーバン・ソウル・シリーズ08年盤、廉価のAOR CITY 1000シリーズの16年盤は、それぞれ拙監修。ライナーは08年盤がカナザワ、今お求めやすい16年最新盤は林 剛クンが書いている。

Rest in Peace...