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モータウンの創立60周年を記念してのキャンペーンがスタートし、コンピレーションのリリースやマーヴィン・ゲイの幻のアルバム初登場など、いろいろな仕掛けが進んでいる(詳細はユニバーサル・ジャパンの特設サイトにて)が、当ブログ的にはやはりカタログ・リイシューに注目。60周年にちなんで復刻60タイトルが出るのは嬉しいが、中身は出し直しばかりなのが残念。モータウンには まだまだ寝てしまっているカタログがたくさんあるだろ〜ッ、とツッコミを入れつつ、少ないながらも美味しい初CD化が隠れているのでチェックは怠れない。その代表的な一作がコレ、ノレン&クロスレイの2nd。今は懐かしき、拙監修のディスク・ガイド本『ブラック・コンテンポラリー・ミュージック・ガイド』(2000年刊)で紹介していたアルバムが、ようやく復刻された。

カーティス・アンソニー・ノレン(g,vo)とレイモンド・クロスレイ(kyd,vo)というサウンド・クリエイター(作編曲・プロデュース)から成る、このツー・メン・ユニット。80年代前半に2作をリリースしたほか、コンビ/単独合わせると、デバージや末弟チコ・デバージ、テンプテーションズ、マーヴィン・ゲイ、テルマ・ヒューストン、ロックウェル、シャリーン、フローターズ、ジェネラル・ケイン、ルイス・ジョンソンのCCMユニットであるパッセージ、そしてジョージ・ベンソンなど、モータウン勢を中心にしつつ、ソウル/R&Bというより白人マーケットに程近い、AOR的なクロスオーヴァー・フィールドに多く関わっている。00年以降も、レイモンド・クロスレイが元シャラマーのハワード・ヒュエット、アース・ウインド&ファイアーの『THE PROMISE』(03年)や『NOW THEN & FOREVER』(13年)に関わっており、さすが実力派!を実感させてくれた。

そのノレン&クロスレイの2nd『AMBIENCE 』は、82年の発表。前作がジャクソン5などを手掛けたハル・デイヴィス制作で、80年代にしてはチョイとオーソドックスなサウンドメイクが施されていたが、セルフ・プロデュースに切り替えたコチラでは、よりアーバンな音作りを展開している。演奏陣にもリッキー・ローソン(ds)、フレディ・ワシントン(b)、リチャード・ヒース(perc /ブラザーズ・ジョンソン)、ラッセル・フェランテ(kyd)、それにバック・ヴォーカル/ヴォーカル・アレンジではビル・チャンプリンが、ウィリアム・チャンプリン名義で貢献している。

デバージやフィニス・ヘンダーソン、80年代のスモーキー・ロビンソンやテンプスのように、モータウンでは最もAOR寄りのシティ・ソウルな音。キラー・チューンこそないが、アルバム・トータルでライトに楽しめる作品である。