pamela polland

昨日ポストしたクラシックス IVに続いて、最近の英 Beat Goes On の素晴らしい仕事をもうひとつ。70年代初頭のウエストコースト・シーンやフォーク界隈で伝説的存在となっている女性シンガー:パメラ・ポーランドの未発表2ndアルバムが、世界で初めて陽の目を見た。フォーク・マニアには60年代に組んでいたジェントル・ソウルで知られるパメラだが、より有名なのは、ザ・バーズやリンダ・ロンシュタット、ライ・クーダーのライジング・サンズに彼女の曲が取り上げられたことだろう。それが今回、既発の1st『PAMELA POLLAND』との抱き合わせで、年明け早々にリリースされたのである。

ジャクソン・ブラウンやJ.D.サウザー、イーグルスの面々たちとの交流を深める傍ら、レオン・ラッセルも在籍したジョー・コッカーのマッド・ドッグズ & イングリッシュメンやタジ・マハールとも活動。72年に米コロムビアから1st ソロを発表したパメラ。サンフランシスコとナッシュヴィルで録音されたこの1st には、タジ・マハールのほかにもジミー・スフェーリス、Dr.フック&メディシン・ショウ、メンフィス・ホーンなども参加している。商業的には何も起きなかったが、その界隈でパメラの名を上げるキッカケにはなったようだ。

ところが、パメラの後ろ盾であるクライヴ・デイヴィスがレーベルを追われ、彼女も契約を失うことに。その寸前にレコーディングされ、そのままお蔵入りしていたのが、今回 世界初登場となった『HAVE YOU HEARD THE ONE ABOUT THE GAS STATION ATTENDANT?』である。

こちらは、エルトン・ジョンでお馴染みのガス・ダッジョンのプロデュース。エンジニアはケン・スコットで、英国トライデント・スタジオで録音されている(一部 L.A.録音)。収録された11曲はすべてパメラの自作で、それも完全初出とか。バック・ミュージシャンは英米セッションメンの混成で、リー・スクラー&ラス・カンケル、ハービー・フラワーズ(b)、レイ・クーパー(perc)らが参加。スペンサー・デイヴィス・グループ出身で後にイアン・ギラン・バンドに参加するレイ・フェンウィックが幅を利かせているのも面白い。コーラス陣にはビーチ・ボーイズのブルース・ジョンストン、そしてジョーン・アーマトレイディングの名もある。

1st のイメージからするとフォーク系、楽曲によって少しスワンプ、になるけれど、時代が進んだせいか、幻の2ndの方は、もっとシンガー・ソングライター然とした仕上がり。上掲アートワークのピアノに向かうショットから連想するのは、そう、キャロル・キングやローラ・ニーロだ。もちろんキャロルの作曲能力に比べたら分が悪いし、ローラほどソウルフルに歌えるワケでもないが、デル・ニューマンのオーケストレイションが素晴らしい<You Stand By Me>、印象的なリフの<Music Music>や<Willsdon Manor>を筆頭に、味わい深いお宝音源のオンパレード。しかも世に出す予定だった11曲にとどまらず、同時に録音されたボーナス・トラックまで2曲収められている。個人的には マニア人気を誇る 1st よりも親しみが持てる作りで、コレがオンタイムでリリースされていたら、きっと愛聴盤になっていたはず。同時にパメラ自身の音楽人生も激変していたに違いない。

実際 この 2nd がお蔵入りした後、彼女は音楽ジビネスに失望してしまったのだろう、友人のジャズ・ピアニストのライヴに付き合って訪れたハワイに魅せられ、76年にマウイへ移住してしまった。それからは大自然に囲まれ、主にヴォーカル・トレーナーとして働いていて、自分のライヴは地元の小さなカフェで思い出したように行なう程度とか。フィジカル・リリースのソロ作も、95年に出した『HEART OF THE WORLD』が唯一のモノとなる。でもこの2nd なら、キャロルやローラの名作と並べて聴くぐらいの価値があると思うな。