don felder_american rock

元イーグルスのドン・フェルダー、約7年ぶりにリリースした3枚目のソロ・アルバム。イーグルス脱退後では2作目。離脱時のゴタゴタを見ても分かるように、決してフロントマン向きの人ではなく、脇役で個性を発揮するタイプだが、カントリー・ロックのバンドだったイーグルスを最初に大きくロックへシフトさせて、音楽的キャパシティを大きくしたのは間違いなくフェルダーだった。ただし、それももちろんドン・ヘンリーとグレン・フライの意向あってのコト。それでもバーニー・リードンからジョー・ウォルシュへの橋渡しをサポートした役割は、決して小さくなかった。それでも職人気質のギター弾きだから、再結成後のイーグルスでは自分の立ち位置を見定められなかった。


それだけに、前作『ROAD TO FOREVER』の出来の良さ、ライヴ・ステージでバリバリに歌う姿は意外だった。とはいえ、何か新しいモノを生み出すパフォーマンスではなかったのも事実で…。だから、この新作で何を聴かせるのか、最初は期待と不安が入り乱れた。でもそれは本人も承知していたようで、『AMERICAN ROCK 'N' ROLL』というタイトル、 US国旗に愛器ギブソンSGのダブル・ネックをあしらったアートワークに、フェルダーの揺るがぬ決意を確認した次第。その開き直りの中で、サイコーにご機嫌な作品を届けてくれた。

とにかく、収録曲ごとのゲストの多彩さといったら。オープニングから歌詞にジミ・ヘンドリックスやC.S.N.& Y.、グレイトフル・デッドなんて名前が飛び出すタイトル・チューンでは、実はご近所さんらしいスラッシュと共演。ビートルズ<While My Guitar Gentry Weeps>を髣髴させる哀愁の<Charmed>では、なんとラッシュのアレックス・ライフソンが。更にリッチー・サンボラ、サミー・ヘイガー、ジョー・サトリアーニ、ボブ・ウィアと続き、バラード<The Way Things Have To Be>でピーター・フランプトンの名を見た時にゃ、思わず涙が溢れそうになりましたワ。

サポート陣も、マイク・フィニガン(organ)、デヴィッド・ペイチ/スティーヴ・ポーカロ(kyd)、ネイザン・イースト/エイブ・ラボリエルSr.(b)、スティーヴ・ガッド/ジム・ケルトナー/ミック・フリートウッド/チャド・スミス(ds)、レニー・カストロ(perc)等など。グレッグ・リース(pedal Steel)なんて渋い人を呼んでいるあたりも、きっとシンパシーを抱いているんだろう、と思わせてくれる。

きっと実直な人なのだろう、自分がフロントに立つタイプではないことを分かった上で、どうしたら自分らしいリーダー作が作れるか。それを熟知した、ある意味、セルフ・プロデュース能力に長けた人に違いない。このアルバムは、元イーグルスという看板に過大な期待を持たず、ド直球のアメリカン・ロックに素直に身を委ねる、それが正しい楽しみ方だ。