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レア・グルーヴ時代に著しく評価を上げたジャズ・ヴァイブラフォン奏者、ロイ・エアーズ。70歳越えの現在も元気そのもので、元より多作家にしてレア盤も多い人であった、それがこの10年くらいで、関連作含めおおよその作品はCDで再発。そして今回、リーダー・アルバムでは “最後の砦” とも目されてきた『SILVER VIBRATIONS』が、いよいよリイシューの俎上に上げられた。

ロイ・エアーズというと、ソロとユビクティ双方の名義で半ば乱発気味にアルバムを出し続けたポリドール期(70~82年)が一番人気。その流れを引き継いだのが、自分のレーベル Uno Melodic から出した『LOTS OF LOVE』と本作『SILVER VIBRATIONS』という2枚の83年作になる。ところが Uno Melodic は運営が安定せず、リリース状況がヤヤこしい。この『SILVER VIBRATIONS』もUKのみの発売で、しかも流通数が少なかったらしく、オリジナル・アナログ盤は激レアだった。

Uno Melodic は80年からリリースを開始。しかしロイは契約の関係ですぐには移籍できず、評判の高い『LOTS OF LOVE』が自分のレーベルからの1作目になる。しかしこれがUSのみの発売に止まったため、UK向けに『LOTS OF LOVE』から人気曲3曲を選んでロング・ヴァージョンで収録し、新曲4曲を加えた別編集盤を出した。それがこの『SILVER VIBRATIONS』である。参加ミュージシャンの記載はないけれど、おそらく『LOTS OF LOVE』とほぼ同じ顔ぶれで、同時期に録られたのではないか。実際サウンドは『LOTS OF LOVE』と同じテイストである。

中でも注目は、『LOTS OF LOVE』の人気曲<Chicago>の、7分に及ぶ長尺ヴァージョン。前作タイトル曲<Lots Of Love>も8分の長さになっていて、ジワジワ、メラメラと内省的に盛り上げて行くロイらしい展開になる。翌84年に始まる米コロムビア期のフュージョン寄りのスタイルとは、ハッキリ色合いが異なるワケだ。そうした意味では、ロイが最もロイらしかった最後のアルバムでもあり、都会派メロウ・グルーヴとして一番脂が乗ったブラック・コンテンポラリー的作品と言える。マジ、待望というに相応しいリイシューだ。