dave koz 019

ゴールデン・ウィーク後半の4日間、ブルーノート・トーキョーで公演するスムーズ・ジャズの人気サックス奏者デイヴ・コーズ。今回はナンと、アシュフォード&シンプソンのヴァレリー・シンプソンをゲストに迎え、彼女がモータウン他に提供してきたヒット曲を交えてのゴージャスなステージを展開している。その東京2日目、1st ショウに足を運んだ。ヴァレリーにとっては、11年に亡くなった夫ニック・アシュフォードと一緒にやって来た09年11月以来(当時のポスト)、約10年ぶりの来日となる。(以下ネタバレあり)

このユニークな顔合わせには、発表当初、誰もが驚いたと思う。でもあとで調べたら、デイヴとヴァレリーは米TV局のクリスマス音楽特番で共演したことがあり、そのあと一緒にUSツアーに出たよう。しかしエントランスで偶然会ったL.A.在住の日本人プロデューサー/ギタリスト氏によると、こうした豪華共演の裏には、米国であれほど隆盛を誇ったスムーズ・ジャズが、近年はもうスッカリ飽きられているという事情があるらしい。そのためこうした歌モノ・コラボや、著名アーティスト同士のスペシャル・ユニットを組んで注目を集める動きが急増しているそうだ。米国で行われている豪華客船でのセレブなクルーズ・ライヴも、かつてはスムーズ・ジャズ勢が主流だったのに、最近はヨット・ロックが延してきている。

でも、そうした重いテーゼを秘めながらも、ライヴ・パフォーマンスはサイコーに楽しく アタマ4曲はすべてインストだが、ショウマンシップ溢れるデイヴに思わず魅せられる。ステージを右から左へと歩き周り、時折バンド・メンバーと動きを合わせ…。歌うようなサックスも印象的で、テナー、アルト、カーヴド・ソプラノと持ち替えも目まぐるしく、ひと時もジッとしていない。毎年のようにやってくる親日家らしく、MCではカンペを見ながらも巧みに日本語を操り、オーディエンスとコミュニケーションを図るトコロにも親近感が湧いてくる。

そしてデイヴの呼び込みと共に、大ヒット<Solid>を歌いながらレジェンド:ヴァレリー・シンプソンが登場。歳を召してもカワイらしさが漂うのは相変わらずだ。更にチャカ・カーンやホイットニー・ヒューストンでお馴染みの<I'm Every Woman>が飛び出すと、ヴェニュー内は大喝采。この曲が彼女の作品と知ってビックリした人もいたんじゃないかな? もちろん10年前も歌ってくれたが、その時に比べると、そりゃーちょっとは歌声がハスキーになっていたり、ハイトーンがキツくなっていたり…。でもそうした細かいコトを超越した芳醇なゴスペル・ルーツのヴォーカル・スタイルが、ビンビンと胸に刺さる。スキルを超えた表現力、説得力、というかな。ロイクなピアノ・プレイも含め、とりわけ素晴らしかったのが、ビリー・ホリデイのカヴァー<God Bless The Child>だった。

そこで一旦ヴァレリーが引っ込み、米ジャズ・チャートで上位に入ったというアダム・ハウリー(g)のソロ曲<Can You Feel It>を披露。続いて、90年代はクワイエット・ストーム系シンガーとしてソロ作を出しつつ、ベーシストとしても活躍し、生前のアル・ジャロウのツアー・バンドで敏腕ぶりを発揮したクリス・ウォーカーが、間もなくリリースされるアル・ジャロウ・トリビュート作『WE 'RE IN THIS LOVE TOGETHER』から<Mornin'>を先行お披露目してくれた(クリス・ウォーカーのサイトへ)。このトリビュートには、デイヴをはじめとするキラ星の如きスムーズ・ジャズ・アーティストが参加しており、件の<Mornin'>では、作者であるデヴィッド・フォスター&ジェイ・グレイドンが揃ってフィーチャーされている。実はライヴ会場では先行販売されていたので、これから足を運ぶ人は要チェック。クリスの歌声やパフォーマンスも、アルを身近に観ていただけあってタダの物真似に終わらず、ググッと真に迫るモノがあった。

で、話はデイヴに戻って、1曲挟んでヴァレリーが再び登場。<Ain't Nothing Like the Real Thing>を皮切りとしたモータウン・メドレーでは、<Ain't No Mountain High Enough>のコール&レスポンスで盛り上がり、デイヴもマイクを取って歌う場面も。アンコールでは、恒例となっている邦楽曲から時節に合わせて<こいのぼり>を披露。「New Era、REIWA オメデトゴザイマス」なんてMCもあって、大いに受けていた。

とにかく、オーディエンスを飽きさせないライヴ・パフォーマンスは見事のひとこと。音楽的に難しいことをポップかつフレンドリーに提示する術も、スムーズ・ジャズ・シーンではまさにトップ・クラスだろう。楽しみながらも、いろいろ示唆に富んだショウであった。

1. LIFE IN THE FAST LANE
2. HONEY DIPPED
3. TOGETHER AGAIN
4. AND THEN I KNEW
5. SOLID(feat.Valerie Simpson)
6. I'M EVERY WOMAN(feat.Valerie Simpson)
7. GOD BLESS THE CHILD(feat.Valerie Simpson)
8. CAN YOU FEEL IT (feat.Adam Hawley)
9. MORNIN’(feat.Chris Walker)
10. SILVER LINING
11. MOTOWN MEDLEY (feat.Valerie Simpson)
AIN'T NOTHING LIKE THE REAL THING 〜 YOU'RE ALL I NEED TO GET BY 〜 AIN'T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH
12. YOU MAKE ME SMILE
-- Encore --
こいのぼり 〜 I’LL BE THERE(feat.Valerie Simpson)

Blue Note Official Report