keith richards_talk

平成から令和への橋渡しを含む10日間の超大型連休もこの日限り。自分自身は、仕事のない日がお休みの日なので、連休なんてあってないような、いつでもゴールデンウィークになり得る不安定な暮らしぶりだが、今年は公私ともにパタパタと単発的予定が入り、結局大型連休らしいコトは何もできず。せいぜい家から歩いて3分の天然温泉に行ったくらいかッ …とはいえ明日からいろいろなコトが動くので、今日はコレでちょっと景気づけ。キース・リチャーズが88年に発表した初ソロ・アルバム『TALK IS CHEAP』の30周年リミックス2枚組である。

当時ストーンズはミック・ジャガーとキースの不仲から解散説が飛び交っていて、かなり不穏な空気が流れていた。実際この時期に両人とも初のソロ・アルバムを出し、麻薬逮捕歴から日本に入国できないキースを尻目に、ミックが単独来日。完成まもない東京ドームで、外タレのライヴこけら落ちしをやった。賛否の割れたソロ公演だったが、アレがなければその後のストーンズ来日もなかったんじゃないかと個人的に思っている。しかもバックを務めたサイモン・フィリップス(TOTO加入前)のカッチリしたグルーヴとチャーリー・ワッツの違いが面白くて、素直に楽しんだクチだったが

それに前後して出たのが、このキースの初ソロ。相方/プロデューサーは、少し前からキースと活動を共にするようになっていたドラマー:スティーヴ・ジョーダン。カナザワ世代でスティーヴ・ジョーダンと言うと、24丁目バンドやスティーヴ・カーン、渡辺香津美『TO CHI KA』などと共演したニューヨークのフュージョン系セッション・ドラマーという印象なのだが、元々ビートルズ・フリークで、80年代半ば頃からレゲエにはまり、ロック方面にも活動域を広げつつあった。そんな中で、ストーンズ『DIRTY WORK』や、キースが参加した<Jumpin' Jack Flash>カヴァー入りのアレサ・フランクリン『ARETHA』に起用されて、互いに親しい間柄に。それがエクスペンシヴ・ワイノーズとしての活動に発展し、ジョーダンは単なるドラマーからプロデューサー/マルチ・プレイヤーとして認知されるようになっていった。このアルバムでも彼は本業のドラムに加えてベースやバック・ヴォーカルを担当。弟分のチャーリー・ドレイトン(ds, b)を持ち替え役で呼んだり、アーロン・ネヴィルの息子アイヴァン、ウエストコースト人脈のワディ・ワクテル(g)に声を掛けている。

アルバムには他に、ストーンズ・ファミリーのミック・テイラー(g)、ボビー・キーズ(sax )、チャック・リーヴェル(kyd)、P-ファンク勢からブーツィー・コリンズ(b)、メイシオ・パーカー(sax)、バーニー・ウォーレル(kyd)らの参加で話題に。大きなシングル・ヒットがなく、英国37位・米国24位とチャート・アクションは伸び悩んだものの、ファンや評論家筋からは好意的に受け止められた。その後ミックと和解し、『STEEL WHEELS』の制作とツアー(90年の初来日含む)に至るが、そのキッカケは、キースがこのソロ作とツアーでフロントに立つ者の労苦を実体験したことと言われていて。タイトル『TALK IS CHEAP』も、当時は「避けなコトをゴチャゴチャ言うな」という意で伝えられたが、実は「言うは易く 行なうは難し」という表現だそう。だとしたら、ソロ作を完成させてミックを思いやる気持ちが芽生えたと、深読みできなくもない。

さて、今回の 2019年リイシュー・プロジェクトは、オリジナルのリマスターCD/アナログの各単品、それにジャムや未発表曲を収録したボーナス・ディスクつきのCD2枚組、そのCD2枚とアナログ2枚に7インチ・シングル2枚、豪華ブックレットやメモラビアを封入した限定デラックス・ボックスなど、各種ラインアップが出た。ただし国内プレス盤は発売されず、限定ボックスの輸入盤国内仕様が用意されるだけ。もっともボーナス目当てのカナザワは、CD2枚組をゲットして満足。そのボーナス曲中4曲はキースとミック・テイラーの絡みがゴキゲンなジャム曲で、ウィリー・ディクソンのカヴァーも含まれる。オリジナルのリマスターも音圧が上がり、なかなかガッツのある音に。記憶の中の音はずいぶん古臭いモノになっていたけど、改めて聴くと、当時のキースの対抗意識が強いエナジーを発していたことが伝わってくる。

これで自分も少し、明日からの元気がもらえたかな。