ian gillan band

この日はFM東京内にあるMusic Bird のスタジオに出向き、今井優子と一緒に大西貴文さんの番組『THE NITE』に生出演。Live Light Mellow Vo.2 を中心に、5〜6月に出演するトーク・イベントを宣伝してきた。大西さん、いつもありがとう。そして帰宅後、このアルバムの15年ぶりの紙ジャケット再発を知って、思わず手持ちの04年盤をチェック。コレ、イアン・ギランの看板を外して聴くと、メチャクチャにカッコ良いファンキー・クロスオーヴァーの作なのね。それこそハード・ロックを演ってるのはイアンだけで、例の「ギャオ〜!」という雄叫びは、ただただウルサイ。

発表は77年。2度目の日本公演終了後にディープ・パープルを抜けたイアンは、スタジオ経営など、しばし実業家としての道を模索した。しかし事業は芳しくなく、再び歌い始めることに。そこで最初に作ったのが『CHILD IN TIME』というアルバム。もちろんパープル時代の名曲リメイクで、プログレ調のアレンジが斬新だった。しかしイアンには他のアイディアがなかったようで、集めた実力派メンバーたちに助けられた形。そしてそのバンドが音楽的主導権を握って作ったのが、イアン・ギラン・バンド名義での この2作になる。

メンバーは、スペンサー・デイヴィス・グループ出身でジャズっぽいギターを弾くレイ・フェンウィック(g)、元クォーターマスでロキシー・ミュージックのサポートでも活躍したジョン・グスタフソン(b)、レインボーの前身エルフに在籍したもののリッチー・ブラックモアに組みしなかったマーク・ナウセフ(ds)、そしてココから加入の若き才能コリン・タウンズ(kyd, flute)。とりわけドラムとベースのコンビネーションがスゴくて、滅茶苦茶スリリング。ナウセフは後にシン・リジィやゲイリー・ムーアのG・フォースあたりを渡り歩くが、実はロック・ドラムを逸脱した前衛的ソロ作も何枚か出していて、実に多彩な打楽器類を操る。このアルバムで聴けるエスニックなパーカッションは、ほとんどこの人のアイディアだろう。一般的評価に恵まれなかったスーパー・ドラマーとしては、テリー・ボジオに匹敵するほどの凄腕だ。そこにエフェクティヴなグスタフソンのドライヴ・ベースが乗り、このサウンドが形成される。タイトル曲なんて、ピンク・フロイドが突然変異してハイスキルになったみたい。

でも当然のごとく、これがパープル・ファンには不評で。ま、所詮求めるモノが違うので仕方ないんだけど、そうした声がイアンに届いたか、はたまたイアンが再びやる気を取り戻したか、次作『SCARABUS』ではハード・ロックへの揺り戻しがあり、メンバーの指向性と噛み合わない中途半端なデキとなった。結局それを最後にバンドはメンバーを刷新。参謀役のタウンズだけ残し、ハード・ロック路線に狙いを絞ったニュー・バンド:ギランをスタートさせたのだった。でも、「パープルの最高傑作はトミー・ボーリン期の『COME TASTE THE BAND』」と言っちゃうカナザワにとって、コズミック・ファンキーな本作は、まさに裏パープル的傑作なのよ。