summer break

11日はカナザワがコーディネイター的に関わっている今井優子のアコースティック・ライヴ『今井優子 Performance 2019 Vol.1 〜 Acoustic Set 〜』 @六本木 BIRDLAND 。そのライヴの模様は、今井優子オフィシャル・ニュース・ブログ、もしくはオフィシャル・サイト をご覧いただくとして…。そのため当日は、午後早い時間から深夜までヴェニューに詰めていたので、ココでは午前中に家の雑事〜出掛ける準備の時に聴いていた、このコンピレーションを。

シティ・ライフに疲れた貴方(あなた)に贈る、155分のサウンド・クルージング。
その風のメロディに身を任せて ----
水面(みなも)に映る白日夢(デイドリーム)のときめき   
by 福田直木(ブルー・ペパーズ)


うわぁー、クサい帯キャッチ。一部 twitterで注目されているAORダサ帯だけど、それを面白がる感性は、ヨット・ロックのお笑いフィクションと近いセンスを感じる。バブリーで空虚だけど、そこに憧れもある、というような。

世間で騒がれるヨット・ロックなれど、ココではひとまず置いといて…。ただキッカケはどうあれ、AOR系の音が新しいリスナーを開拓しつつあるなら、こうして有名曲を集めた入門者向けコンピレーションは必要だ。初心者にはすべてが新曲で、何が定番で何がニッチなのか区別できない。もちろん何から聴くかは自由だけれど、探求していくにはそれなりの順番がある。例えばビートルズを知らずにバッドフィンガーを語られては困るように、ジョン・ヴァレンティやエリック・タッグの前には、ボズ・スキャッグスやボビー・コールドウェルがいるわけで…

ストーリーミングで自由に音が聴けるのは素晴らしい。でもデータがオートマチックにオススメしてくるモノに頼っていては、本当に自分の好きなモノには巡り会えず、それどころか与えられたステレオ・タイプに染まっていく可能性が高い。自分の感性にジャスト・フィットするキュレーターやリコメンド・システムを早く見つけ、そこから自分なりに掘っていくのが、理想的な音楽の広げ方ではないかな? どんな時代も口コミが強いのは、相手の顔が間近に見える、つまり信用できるかどうかが簡単に判断できるからだ。

ライター稼業を始める以前の約15年間、単なる一般音楽ファンだった自分は、好みが近い音専誌の執筆陣に白黒つけて、実際に自分が何を購入するかの参考にしていた。単に各ジャンルの専門家というだけでなく、コイツは自分に近い感性の持ち主、アイツは提灯持ちで信用ならない、彼は知識だけでセンスが悪い、彼女は好みは違うけど面白いのを紹介してくる、などと…。それが今は、自分が参考にされる立場にいるのだから、光栄であると同時に責任を感じざるを得ない。場合によっては自分の書いたものが、リスナーとアーティストを遠ざけてしまうことだってあるのだ。ブロガーの中には、やたらと作品を扱き下ろしてイイ気になってる者もいるけど、読んでいて胸クソ悪くなるし、そういう輩に限って見識が狭かったりする。当ブログの場合は、ポジティヴに書けないなら紹介しないのが基本スタイル。時には「オレはこう思うけど、皆さんはどう聴きました?」という問題定義はあるけれど、「つまらん」と斬って捨てることはしてないつもりだ。もっとも最近の書き手は、自我を確立している人自体が圧倒的に少ないようだけれど…

最近のAORって、どんどんマニアックでニッチな方向へ行ったり、クロスオーヴァー化が進んで軸ブレを起こしている感がある。ただし、世代間の感性の違いや時代背景による斬り口の差は大いに認めるところで、AOR世代ならぬオンタイム派の余計なこだわりに付き合うつもりは毛頭ない。それでも基準となる指針は必要で、この『SUMMER BREAK 〜 Postcard From AOR City』のような王道コンピの重要性をヒシと感じている昨今なのである。


【収録曲】
〈DISC 1〉
1. Boz Scaggs - Jojo
2. Toto - Rosanna
3. Airplay - Nothin' You Can Do About It
4. Bill Champlin - I Don't Want You Anymore
5. Lee Ritenour - Isn't She Lovely
6. Aretha Franklin - What A Fool Believes
7. Melissa Manchester - I Wanna Be Where You Are
8. Dave Mason - Save Me
9. Dionne Warwick - For You
10. Steve Perry - Foolish Heart
11. Kenny Loggins - Heart To Heart
12. Pages - If I Saw You Again
13. Ned Doheny - Each Time You Pray
14. Karla Bonoff - Trouble Again
15. J.D.Souther - You're Only Lonely
16. Jimmy Webb - Angel Heart
17. Daryl Hall & John Oates - Wait For Me
18. Larry Lee - Don't Talk

〈DISC 2〉
1. Jimmy Messina - Seeing You (For The First Time)
2. Airplay - Should We Carry On
3. Pages - Who's Right, Who's Wrong
4. Ray Parker Jr. & Raydio - A Woman Needs Love (Just Like You Do)
5. Niteflyte - If You Want It
6. Al Johnson - I've Got My Second Wind
7. Herbie Hancock - Paradise
8. Stanley Clarke & George Duke - Sweet Baby
9. Toto - I'll Be Over You
10. Gino Vannelli - Living Inside Myself
11. Ned Doheny - Valentine
12. Silver - Musician (It's Not An Easy Life)
13. Cecilio & Kapono - The Nightmusic
14. Air Supply - Lost In Love
15. Gino Cunico - Fanny (Be Tender With My Love)
16. Paul Davis - I Go Crazy
17. Barry Manilow - The Old Songs
18. Boz Scaggs - We're All Alone

SUMMER BREAK〜POSTCARD FROM AOR CITY タワーレコードのサイトへ



 コメント一覧 (1)

    • 1. J-BOY
    • 2019年05月26日 20:42
    • Summer Breakというテーマにそぐわなかったのかもしれないけれど、AOR入門という位置づけならMichael Franksがないのいかがなのもか! とオンタイム派の余計なこだわりです。

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