koola

TOMA/NATTOのデビュー盤と共にCD化を待ち侘びていたハワイアン・コンテンポラリーのヒドゥン・トレジャー、KOOLA(クーラ)が、ようやくの復刻実現。レコードコレクターズ誌のハワイアン・コンテンポラリー特集(と言ってももう15年以上前だが…)では何故か掲載されていなかったけれど、内容的には充分に紹介する価値があった、と今も思っている。果たして、TOMA/NATTOの復刻は実現するのだろうか?

さてクーラは、フランツ・カハレとロン・クアラアウから成るツー・メン・ユニット。自主制作にも関わらずL.A.レコーディングを行ない、 ドラムにチェスター・トンプソン(ウェザー・リポート〜ジェネシス)、ギターにソロ作もあるマイク・オニール(ジョージ・ベンソン・バンド)、それにフランク・ザッパや自分たちのグループでも活躍したトム&ブルース・ファウラーが後ろを固めている。コンテンポラリー・ハワイアンというと、ゆるーいレイド・バック・サウンドに灼けた歌声が相場。でもクーラのサウンドは、例えばミュージック・マジックのような本格派だ。リリースが87年と比較的遅いのも、彼らの熟れたサウンド・メイクの背景かも。

それが功を奏したのが、アルバム冒頭の<Blow My Blues Away>と、甘美なバラード<Standing In The Rain>、フュージョン・ポップの<Call Me>あたり。とりわけ<Blow My〜>はホーンを配した完璧AORスタイルで、アル・ジャロウの絶頂期を髣髴させるほどのパーフェクション。イーグルスのカントリー・バラードに通じる<Broken Dreams>も、なかなか味わいがある。畳み掛けるようなマイナー・ロック<Eye-2-Eye>にも相応のファンが付きそうだが、コレはマイク・オニールのトリッキーなギター・ソロが聴きモノ。マイケル・センベロ張りの展開は、本来の彼のスタイルとはかけ離れたプレイだけに貴重だ。本編最後の<My Old Room>のオーガニックな風合いも、如何にもハワイ。この曲はボーナス・トラックでも再演されている。

でもそれ以外の楽曲は、ごくごく平凡。取るに足らぬジャワイアンとかを演っていて、アルバムのトータル・クオリティを貶めている。でもその締まらなさ加減が、そもそもハワイらしい…、という言い方もできるかな あとひとつ指摘しておきたいのは、所々で音が歪んでいること。おそらくアナログからの盤起こしなのではないか。でもそれなら今はもっと良質な音でヴァイナルからマスターを作れるはずなのに…と、少々残念

でもでも、とにかくは<Blow My Blues Away>を聴いてみて。それこそコレ1曲で、アルバム1枚分の価値があります。