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10年代初頭までデヴィッド・フォスターのお抱えギタリストの座にあったL.A.の敏腕セッション・ギタリスト、マイケル・トンプソン。リーダー作を出したり、ゴツいメンツでネイティヴ・サンというグループを組んだりしていた彼が、その名もズバリ、マイケル・トンプソン・バンド(MTB)名義の3作目をリリースした。1枚目が89年の『HOW LONG』、2枚目が12年の『FUTURE PAST』、そして今度は7年かかって…。つまり30年でたった3枚。いい加減にせいヨ。

でもこれはグループだと思うから腹が立つのであって…。それこそグループなんて名ばかりで、実質的には気が向いた時に始動するプロジェクトみたいなモノだと思えば、まぁ、納得できる。

一貫性に乏しいのは、音作りも同様。1枚目がTOTO〜マクサス路線のAOR/ウエストコースト路線だったのに対し、2枚目はヨーロッパ仕様のメロディック・ハード路線。そしてこの3枚目は、2枚目をベースとしながらも、よりポップで産業ロック的なアメリカン・ハード・スタイルに近づいた。マイケルのギターもブルージーな味わいを増し、楽曲的にもメロディが強くなっている。

2枚目でマイケルの相方を務めたリード・シンガー:ラリー・キング(Soleil Moon)は、今回は2曲のみの参加。前作でも特徴的だったフォリナー調の楽曲で、味のあるヴォーカルを披露している。その代わりにマイケルのパートナーになったのは、少し前までパブロ・クルーズでプレイしていたはずのラリー・アントニーノ。ベース兼リード・シンガーの一人として彼らの復活に貢献し、日本公演でも活躍していたが、結局ココに移ってしまったのかな? いや、セッションだと思えば、掛け持ちかもしれない。彼はリード・ヴォーカルのみならず、11曲中7曲をマイケルと共作し、グループ・ショットにも登場している。他には旧知のマーク・スパイロが2曲で作曲/リード・ヴォーカル、鍵盤のガイ・アリスン、ドラマー2人、そして共作者としてクレジットされているベッツィー・サマーズが今作の参加者だ。

ちなみに、表記上の収録曲は全18曲。しかし尺の短いギター・インタルードが多く、マトモな楽曲と言えるのは、前述通りの11曲になる。その中でトータル・バランスで聴かせるコンテンポラリー・チューンと、若干前作寄りの歪み系メロディアス・ハード系に分けることが可能。でも個人的には、2作目よりは耳馴染みが良いな。

そういえば、昨年映像が公開されていた<72 Camaro>は、何故か未収録。マイケルとラリー・キング以下、リー・スクラー(b)、ヴィニー・カリウタ(ds)、リッキー・ピーターソン(kyd)という、やたら素晴らしいメンバーだったのに…。これは下に画像を貼っておくので、ココでご堪能あれ。

そういえば 伊 Frontiers の作品群も、めっきり日本リリースされなくなってしまったな…。