joe thomas _78

当ブログではあまり紹介できていないが、ブルーノートのLA品番、プレスティッジの7000/10000番台、CTI/KUDUあたりの作品群、すなわちソウル・ジャズからクロスオーヴァー/フュージョンへと進化していくプロセスで産み落とされたジャズ・ファンク系のアルバムは、カナザワの大好物。だからブルーノート〜ソリッド・ステイトで活躍したプロデューサー:ソニー・レスターが71年に設立したレーベル:グルーヴ・マーチャントの作品には、どれも反応してしまう。多少粗製濫造の気配も漂うが、それをシッカリ再発しているのは、P-VINEや Ultra Vybe傘下の Solid といった日本の老舗インディペントだ。

60年代から活躍する黒人ジャズ・フルート奏者ジョー・トーマスも、グルーヴ・マーチャント創設直後からの所属アーティスト。72年の『JOY OF COCKING』がその第1弾で、“エボニー・ゴッドファーザー” の異名を取った。グルーヴ・マーチャントは70年代後半にレスター・ラジオ・コーポレーション(LRC)と改名し、マイアミ・ソウル系レーベルとして知られるTKと配給契約を締結。大衆的なディスコ・サウンドに近づいた。『JOY OF COCKING』から数えて5作目、LRCでは2枚目となる78年作『GET IN THE WIND』も、まさにそうした1枚である。

収録曲6曲中オリジナルは3曲。残り半分は、ボズ・スキャッグス<Low Down>、アトランタ・リズム・セクション<Imaginary Lover>、ドリー・パートン<Two Doors Down>のカヴァーだ。しかもARSとドリーの2曲は、共に78年3月にチャート・インした当時の最新ヒット。まぁ、抜け目ないというかアザといというか、この手の早さはディスコ物ならでは…

それでも仕切りは、このレーベルの大番頭ブラッド・ベイカーとランス・クイン。参加メンバーにはクリス・パーカー(ds)、ニール・ジェイソン(b)、ジェフ・ミロノフ(g)、ロブ・マウンジー(kyd)ら、ニューヨークの著名どころを揃えている。ベースのバビットとは、モータウンのファンク・ブラザースに名を連ねたボブ・バビットとのこと。トランペットのマーヴィン・スタンは、後にボブ・ジェームスに重用された。ヴォーカルにはグウェン・ガスリーやジョセリン・ブラウン、そしてゴードン・グローディと、こちらもソロ作を持つ実力派ばかり。ゆえに企画や選曲が若干安易でも、演奏に破綻はなく、聴いていて「オォッ」を身を乗り出す瞬間が何度もある。

ボズのカヴァーも、オリジナルよりBPMを上げてダンサブルに仕上げた反面、単なるディスコ仕様とは思えぬアグレッシヴなアレンジを施してあり…。リバーブ感タップリのフルートもカッコ良く、これはエンジニアの一員であるボブ・クリアマウンテンの仕業か? 楽曲ごとのクレジットはないものの、ベースはきっとブレッカー・ブラザーズでイイ仕事をしていたニール・ジェイソンだろう。

…というワケで、『Light Mellow presents 音盤&トーク・ライヴ Vol.15 』 @ 神保町 楽器カフェ、ボズ・スキャッグス特集。そこでこの<Low Down>をかけようか、どうしようか…。一応、他のアーティストのカヴァーを用意してあるんだけど。