azymuth

イベントにレコーディングとドタバタな週末だったので、今日は家で耳をリフレッシュさせつつ、ちょっとした選盤のお仕事。ライトメロウをテーマに、邦洋のオススメ盤100枚をチョイスしている。これは後日発表できると思うので、しばしお待ちを。で、耳ダレを直すべく垂れ流しているのは、最近 髪ジャケット仕様で復刻されたアジムスの『涼風(Aguia Nao Come Mosca)』。NHK-FMの名番組:クロスオーバーイレブンのオープニング・テーマに使われていた<Voo Sobre O Horizonte>を収録した名盤である。

アジムスはブラジル屈指のメロウ・フュージョン・トリオで、センス抜群のキーボード奏者J.R.ベルトラミ、ベースのアレックス・マリェイロス、ドラムのママォンから成る。マルコス・ヴァーリのバックを務めるなどしたセッション・ミューシャン集団が元々の姿だが、73年頃から4人組としてバンド活動を始め、75年に "Amimuth" 名義でデビュー。77年のコレが2作目になる。以前の再発でライナーを書かせて戴き、当ブログでも紹介済みだけれど、それから7年近くが経過しているので、この際改めて。今回の紙ジャケ盤の解説は、流線形のクニモンド瀧口クン。

件の<Voo Sobre O Horizonte>は、全米デビュー作となった次作『LIGHT AS A FEATHER』に新録版が収録され、<Fly Over The Horizon(Voo Sobre O Horizonte)>として生まれ替わった。それに伴ってクロスオーバーイレブンのテーマも、オリジナルからニュー・ヴァージョンへと推移。だから人によって、聞いていた時期で馴染みのテイクが違う。でもどちらも極上のメロウネスが味わえること、請け合い。またミルトン・ナシメントのカヴァー<Tarde>も、同番組のエンディングに流れていたインスト・バラードだ。ミルトンといえば、ラテン・パーカッションとコーラスが躍動するミディアム<Circo Marimbondo>も取り上げられている。

全米デビュー後のクリーンアップされた印象に比べると、本作の作風はよりブラジルっぽく、熱気を孕んでいる印象。特にシンセ使いが、前作、今作、そしてUSデビュー作と着実に進化していて、音楽性と機材の進化がシンクロしていたことを感じさせる。浮遊するローズ・ピアノの揺らぎ、ヴェールのようなストリング・シンセ、あぁ、タマラん…

中核ベルトラミは88年に脱退。アジムス自体はその後も活動を続けたが、徐々に低空飛行となり、表立ったニュースが入らなくなった。しかしレア・グルーヴ方面での再評価もあって、90年代終盤にベルトラミ入りで復活。Far Out でコンスタントに作品をリリースしたものの、そのベルトラミが12年に66歳で逝去している。16年に新生アジムスとして『FENIX』をリリース。今回はタイミングよく、デビュー前の音源を集めた『DEMO』がリリースされたばかりでもあるから、併せてチェックを。