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前ポストに続いて、 Light Mellow 冠のアヴェレイジ・ホワイト・バンド廉価シリーズ後期6作品の続編。今回は、日本初復刻となる88年の再結成盤『AFTERSHOCK+6』、こちらも日本初復刻の96年作『SOUL TATOO+3』、そして日本盤初登場となる03年盤『LIVING IN CLOUR+1』をピックアップした。

昨日ご紹介した『CUPID'S IN FASHION』(82年)発表後に解散状態となったAWBは、88年5月に行われたアトランティック・レコード創立40周年記念ライヴ(@ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン)に出演している。レッド・ツェッペリンがライヴ・エイド以来2度目の再結成ステージを踏んで大きな話題になったが、実はAWBも全盛期メンバーでコレに出演していた。おそらくその準備段階で再結成が相談されたのではないか。しかしイベント参戦とパーマネント活動再開では大きく意味が違う。案の定ヘイミッシュ・スチュアートとスティーヴ・フェローンは新グループ:イージー・ピーセズを準備しており、サックスのモリー・ダンカンも再集結に同調しなかった。

結局アラン・ゴーリーと相方オニー・マッキンタイア、ロジャー・ボールの3人が中心となって暫定スタート。4人目のメンバーに迎えられたのは、AWB以前から付き合いがあるアレックス・リジャートウッドだった。彼はブライアン・オーガー・オブリヴィオン・エキスプレス〜ジェフ・ベック・グループ〜サンタナと渡り歩いた実力派。しかし本作への関わりはリード・ヴォーカル1曲、コーラス2曲と極めて限定的で、実質的には、本作以降正式メンバーに昇格するエリオット・ルイス、19thフリートなるユニットで活動していたケヴィン・カルホーン&マット・ノーブルが曲を分け合ってメンバーをサポートしている。プロデュースはアーサー・ベイカーの右腕ジョン・ロビー。タイトル曲のみ、楽曲提供でも絡むデニス・ランバートがコ・プロデュースしている。でも最大の注目点はチャカ・カーンとオハイオ・プレイヤーズがゲスト参加したこと。チャカは2曲歌っていて、、オープニングの<The spirit Of Love>でいきなり彼女とのデュエットが聴ける。ソプラノ・サックスはロニー・ロウズ。オハイオの参加は<Love At First Sight>にて。彼らの参加はちょっと意外だが、これは今作を出したシアトルの新興レーベル:トラック・レコードのレーベルメイト、という関係からだった。AWB作品では唯一ドラムレス編成で、アルバムにもジョン・ロビーと新参エリオット・ルイスによるプログラム、ロジャーによるシンセ・ホーンなどが導入され、果敢に時代の音に対応している。そのチープさに、当時はちょっと失望したが、時代がひと巡りしたいま聴くと、意外に素直に聴けるから面白い。確かに “らしさ” は薄いものの、本格的リユニオンのノロシとなった点では、案外重要な作品と言えるだろう。

トラックス・レーベルの速攻瓦解でAWB復活も泡と消えたように見えたが、92年になって若手ドラマー:ピーター・アボットを獲得。アラン、オニー、ロジャーにエリオット・ルイスの計5人で本格的再始動。デビュー間もないキャンディ・ダルファーが<Pick Up The Pieces>をカヴァーして人気を集めたり、アランはダリル・ホールのソロ作&ツアーに参加するなど追い風もあった。そして95年6月にAWBとして待望の再来日。ロジャーも初リーダー作を出している。そして翌95年、この本格的リユニオン作『SOUL TATOO』が届けられた。テーマは 収録曲にもある<Back to Basic>。<Oh Maceo>という曲は、全盛期のジェームス・ブラウンを支えたファンキー・サックス奏者メイシオ・パーカーに捧げたもので、まさにAWBルーツに立ち返ったナンバーだった。アルバムを俯瞰してみると、シングル・ヒットしそうなキラー・チューンこそないものの、結成当時のようなオリジナル・スタイルを取り戻したオールド・ファン向けの充実作。国ごとにディストリビューションが異なるため、アートワーク違いの盤が複数存在するが、どれもイメージは共通している。それだけバンド側のコントロールが効いていたワケで、この期に再評価を促したい一枚だ。

6年ぶりの03年に自主リリースされた『LIVING IN COLOUR』は、アランとオニーが3人の新メンバーを迎えたアルバム。結成メンバー:ロジャー・ボールと再結成を支えたエリオット・ルイス、前作ドラマーの3人は、いずれも健康上の理由で相次いでバンドを離脱してしまった。だがソロ作もあるクライド・ジョーンズ(現在はダリル・ホールのバンドでレギュラー)も頑張りもあって、アルバムは程よい出来に。原点回帰を謳った『SOUL TATTOO』に比べ、バラエティに富んだ楽曲が並んでいる。メジャー・ハリスの大ヒット<Love Won’t Let Me Wait>(75年に全米5位・R&B首位)のカヴァーもイイ雰囲気。レコーディングでは一部プログラミングを使ったようだが、あくまでAWBのタイトなバンド・サウンドを補完するものとしての導入なので、安心して身を委ねられる。

それにしても、03年にリリースした『LIVING IN COLOUR』が、現時点では、スタジオ録音による最後のフル・アルバムになっているとは。06年に『SOUL & THE CITY』、13年に『TIMES SQUARED』(録音は09年)、16年に『R&B』と、その後のリリースはいずれもライヴ録音で、デジタル・リリースの最新作『INSIDE OUT』も、新録4曲+代表曲のライヴ8曲から構成されている。しかも新曲のうち2曲はジェイムス・テイラーとアイズレー・ブラザーズのカヴァー。待望のメンバー書き下ろしは、アランの1曲だけだ。正直これでは消化不良を起こしてしまう。現メンバーには、パワー・ハウスのような強力ドラマー:ロッキー・ブライアント、タワー・オブ・パワーにも在籍したグループ初の専任シンガー:ブレント・カーター、ジョン・スコフィールドのグループにした
ロブ・アリーズ(kyd)など実力派のメンバーが揃っているのに、純然たる新作が途絶えているのが残念で仕方ない。来日も15年で途絶えているが、英米欧では積極的にツアーを続けているので、久々の来日にも期待したい。