karla bonoff_carry me

某誌のライヴ取材を兼ねて、カーラ・ボノフ@Billboard Live Tokyo 2nd show。ウェイト・バンドから2日続けてビルボード・ライヴでアメリカン・ロックの粋を味わう。カーラはJ.D.サウザー、ジミー・ウェッブとの各共演や、盟友ケニー・エドワーズとのアコースティック・バンド、そしてもちろん今回のようなデュオ公演など、もう5〜6回は観ているかな? 90年代中頃だったか、マイケル・マクドナルドとのダブル・ヘッド・ライナーみたいなホール公演に足を運んだこともあった。基本的に、ライヴはリズム隊のいるバンド編成で聴きたいカナザワなので、去年の来日はスルーしてしまったけれど、カーラみたいに楽曲と歌声で魅了するタイプのシンガー・ソングライターは、ギターとピアノのネイキッドなデュオでも充分すぎるほどに惹き立つ。

デュオのパートナーは女流ギタリストのニナ・ガーバー。70年代からケイト・ウルフのサポート・ギタリストとして名を挙げた人で、カーラとはもう十数年の付き合いになる。ケニー・エドワーズが健在だった頃からカーラのステージに一緒に立つようになって、去年出たセルフ・リメイク中心のアルバム『CARRY ME HOME』でも、全曲ギターを弾いている。カーラは、彼女のオーガニックで美しいトーンのギターをたいそうお気に入りのようで、ケニー亡き後、ステージでは欠くことのできない存在だ。

今回のライヴは、意外にもシットリと<Home>でスタート。続いてお馴染み<Trouble Again>で勢いをつける。そこからはまさにカーラの代表曲オンパレード。純粋なオリジナル新作は30年以上も出していないのに、その楽曲たちが今も瑞々しさを失っていない。『CARRY ME HOME』にまとめた最新アレンジ、ということもあるが、これはやっぱり清廉なカーラの歌声あってこそ。こうした個性はとても貴重だ。

そしてもうひとつ、オーディエンス側の勝手な思い込みとして、やはりリンダ・ロンシュタットのナマ歌が聴けなくなった分、カーラに心を寄せてしまうところがあるのだろう。序盤の<Trouble Again>だけでなく、<Someone To Lay Down Beside Me>、<Good bye My Friend>、そしてアーロン・ネヴィルと歌った<All My Life>。ニコレット・ラーソンが歌った<Isn't It Always LOve>も、また然り。他にも<Restless Night>や<Tell Me Why>といった名曲群に、ジャクソン・ブラウン・トリビュートに提供した<Something Fine>、ニナのギター・ソロによるジョン・レノン・カヴァー<Imazine>、そしてライヴ定番<The Water Is Wide>も。

カーラとニーナがアコースティック・ギターを共有するのも微笑ましく、カーラがアコギを抱えるとニーナはエレキを手にする。ニーナがカーラにアコギを手渡す前は、ちゃんとチューニングをチェックする気遣いも、もはや阿吽の呼吸なのかな。

ベテランAOR系アーティストの場合、新作リリースより来日公演の方が頻繁で、毎年とか隔年とか、コンスタントに来日するケースが多い。でもこの手のアーティストのライヴは、ツアーごとに大きく内容が変わるワケじゃない。だから新作なしのままの来日が度重なると、ミーハーになれるアーティストじゃないないと、流石に飽きが来たりする。でもカーラのショウは、超シンプルなのに それがない。イヤむしろ、シンプルだからこそ、カーラの歌やニナのギターの深いトコロにまで意識が届くのかもしれないな。