sheryl crow

「最後のアルバムになるかもしれない」と自ら語っている、シェリル・クロウの最新アルバム降臨。「グラミーを9つも獲っている大物とはいえ、たかが93年デビューのキャリアで何を言ってるの」と最初は思ったが、デビュー以前に教壇に立っていたり、デビューのために最初に作ったアルバムがお蔵入りしたりと、実は結構な苦労人。『TUESDAY NIGHT MUSIC CLUB』が大ヒットした後も、エリック・クラプトンと浮き名を流したり、鬱になったり、映画に出たりと、なかなか波乱万丈の道筋を歩いている。社会派の楽曲や政治的発言も多く、発売自粛や放送禁止を喰らったことも少なくない。それでもその飾らないトコロが好かれるのか、大物アーティストとの交流が盛んで。最後と言われるこのアルバムも、そうした多彩なゲストたちとのコラボレーションを収めた、超豪華デュオ・アルバムになっている。

主なゲスト陣は、『THREADS』なるアルバム・タイトル通りに、彼女といろいろ縁があった人たちで、ニール・ヤングやウィリー・ネルソン 、ジョニー・キャッシュ、ジェイムス・テイラー 、スティーヴィー・ニックス、ボニー・レイット、エミルー・ハリス、メイヴィス・ステイプルズ、ヴィンス・ギル、ゲイリー・クラークJr. 等などが名を連ねる。全17曲中多くが彼女の単独作 or 共作曲。カヴァーはジョージ・ハリスンの<Beware Of Darkness>、ボブ・ディラン<Everything Is Broken>、ローリング・ストーンズ<The Worst>、クリス・クリストファーソン<Border Road>で、<The Worst>にはキース・リチャーズ 、<Border Road>にはクリストファーソン自身が参加している。また<Beware Of Darkness>には、ジョージの親友でもあったクラプトンが、スティングと共に。シェリルとジョー・ウォルシュが共作している<Still The Good Old Day>は、当然ながらジョー自身がヴォーカルとギターでフィーチャーされているが、これがもうシェリルが歌おうと何だろうと完全無欠のジョー・ウィルシュ節全開で、大笑いしてしまった。

プロデュースは、最近イイ仕事しかしてないような印象のあるスティーヴ・ジョーダン。演奏陣にはワディ・ワクテル、グレッグ・フィリンゲインズ、デヴィッド・フッド、スプーナー・オールダムの名前もチラリと。レーベルがテイラー・スウィフトを輩出したビッグ・マシーンということで、自ずとカントリー色豊かな作りとなるが、まぁ普通にアメリカン・ルーツを感じさせるシンプルなアコースティック・サウンドに豪華共演が乗っかるカタチになっている。それでいてシェリル自身がゲストに負けることなく、歴としたコラボ作として成立しているのがミソ。デジパック・サイズの紙ジャケ3面仕様、ゲストとのスナップを満載した大型折り込みの裏には、歌詞とシェリルのコメントがギッチリ、というのも彼女のコダワリだろう。国内盤にはその訳詞がキチンと入っている。

日本では最近話題に乏しく、「まだ演ってたの?」と意地悪を言われそうなシェリルながら、コレはしっかりチェックしておくべきでは?