duane & Gregg allman

このところ、米国南部のスワンプ系をブログ・ネタにする比率が高い気がするが、思うにみんな、テデスキ・トラックス・バンドの好調ぶりにアテられてしまっているのだろう。彼らは先ごろ出演したフェスでエリック・クラプトン(デレク&ザ・ドミノス)の『LAYLA』を曲順通りに(ほぼ)フル・カヴァーし、その模様を公開して(詳細はこちら)、大評判を得ている。それに釣られるようにして、グレッグ・オールマンとディッキー・ベッツの息子同士で組んだバンドが活動を本格化させたりも。一方再発市場では、グレッグの名盤『LAID BACK』のデラックス盤が登場。日本では、オールマン・ブラザーズ・バンド結成前夜のデュエイン&グレッグがマイアミのレーベルに残した秘蔵音源が、オフィシャルCD化された。

このアルバム、名義こそデュエイン&グレッグ・オールマンだけれど(GreggがGregになってるのはご愛嬌)、実際は “The 31st Of February” なるバンドのセカンド・アルバム用デモ・テープで、68年に録音された音源とのこと。メンバーはオールマンに参加するブッチ・トラックス(ds)、カウボーイを結成するスコット・ボイヤー(g)、そしてグレッグのソロやボズ・スキャッグス、ベン・シドランらの初期作に参加したデヴィッド・ブラウン(b)。今回の再発解説にはサンタナの初期メンバーとあるが、それは同名異人の黒人ベーシストである。看板にされたデュエインとグレッグは、実はフィーチャリング・メンバーという位置付け。でもほとんどのリード・ヴォーカルをグレッグが担当していたため、オールマン成功後に彼らの名義で世に出されたらしい。発売は72年、米TKレコード傘下のボールド・レーベル。オールマンの前身というと、やはり兄弟で組んでいたオールマン・ジョイズが有名だが、この音源はそのあと、ちょうどアワー・グラスと同時期の録音になる。

ただし、デモ音源の蔵出しと思って軽く見ることなかれ。音は多少ラフながら、イイ曲を演っているのだ。ジェフ・ベック・グループやグレイトフル・デッドで有名な<Morning Dew>、クラプトンが『LAYLA』に収めた<Nobody Knows You When You're Down and Out(だれも知らない)>、アワー・グラスでもレコーディングしていたエディ・ヒントン作<Down In Texas>、そして何よりオールマンのレパートリーとなった<Melissa>の初演版。TKのプロデューサーであるスティーヴ・アライモが何曲か作曲でクレジットされているけれど、これは目先の金欲しさにグレッグが二束三文でアライモに楽曲権利を売り渡してしまったものだという。管理のズサンなことで悪名高いヘンリー・ストーン/TKグループだけに、これぐらいじゃ〜驚かないけど…

延々とジャムるオールマンに比べ、コチラは歌モノとして成立している感があり、オールマンが内包していた洗練の部分を先取りしていた印象もある。サザン・ロック辺境のジャズ〜ソウル的展開に興味がある人は、そのルーツとして、なかなか面白く聴けるのでは?