elvin jones_72

昨日ブルーノートの映画を観てきたばかりなので、今日はそれと連携しているユニバーサルの、ブルーノート創立80周年記念再発シリーズ【BLUE NOTE MORE 60 WORKS】からピックアップ。当ブログで再三書いているように、ビ・バップやハード・バップ系のモダン・ジャズには興味が薄いカナザワは、主にピアノやベースの電化導入如何で、その作品に手を出すか否かを決める。エルヴィン・ジョーンズで言えば、70年台突入間もない頃がその端境期。71年に録音された本作『MERRY GO ROUND』は、そんな時期だからこその、ジャズの楽しさを追求した作品と言える。

興味深いのは、チック・コリアとヤン・ハマーが鍵盤を分け合い、フロントにはレギュラー・グループのツイン・テナー:デイヴ・リーヴマンとスティーヴ・グロスマン、本作後にチックが組むリターン・トゥ・フォーエヴァーに参加するジョー・ファレル、そしてフランク・フォスターにペッパー・アダムスという豪華5管。こうしてサックス中心にしたバンド・アンサンブルを構成するのは、ジョン・コルトレーン・グループにいたエルヴィンならではの手法とされる。ギターが渡米間もない増尾好秋なのも日本のリスナーには嬉しいところで、彼の流麗なソロはオープナー<Round Town>でフィーチャーされる。エルヴィンとリズム隊を組むのは、後年グロスマンとストーン・アライアンスを組むジーン・パーラ。その相方となるドン・アライアスが、パーカッションで華を添える。

収録曲はメンバーの持ち寄りながら、リターン・トゥ・フォーエヴァーの<La Fiesta>を先に演っていたり、アルバム・タイトルに掲げたハッピーな<The Children's Merry Go Round March>でいつもと違った表情を見せたり…。

増尾同様、ヤン・ハマーも母国チェコスロヴァキアからやってきたばかりで、マハヴィシュヌ・オーケストラの1作目がこの年。若手の登用にも積極的なエルヴィンのスタンスが垣間見える人気作だ。