gerry beckley 019

アメリカの片割れ、ジェリー・ベックリーのニュー・アルバムがこそっとリリースされている。前作『CAROUSEL』から約3年ぶり。カナザワは連続して解説を書かせて戴いてるが、商品サンプルが送られてこないので、ウッカリ発売日を忘れてたわ ホームであるアメリカは、今年が結成50周年というコトで、結成50周年を記念した50曲入りのワーナー期アンソロジー3枚組『THE COLLECTION』(日本のみボーナス曲追加の51曲)が出たり、昨年のロンドン公演を2CD+DVDに収めたボックス・セット『LIVE AT THE PALLADIUM』が出てツアーにも忙しいようだが、その合間を縫うように、ジェリーはソロ活動にも精力的だ。

…とはいえジェリーの作風は一貫していて、レコーディングのコア・メンバーも『CAROUSEL』の時とほぼ同じ。ジェリーが自分のスタジオでエレキ&アコースティック・ギター、ベース、キーボード、曲によってはドラムまでホーム・レコーディングし、そこに気心知れた友人たちが様々な音を重ねている。弟分ジェフ・ラーソンは、今回もコーラスと録音周りで活躍。ジェフと親しく自分もソロ活動に勤しむジェフリー・フォスケット、それにラリー・クライマス(sax/ex-Puzzle)とニック・レーン(tb)、ドラムのライランド・スティーンも連続参加している。

元々このアルバムは、ジェフの09年のアルバム『HEART OF THE VALLEY』がベース。彼自身もそこに4曲追加した再構築盤を出したが(16年)、その内容はジェフがほぼシンガーに徹し、兄貴分のジェリーが作編曲からプロデュース、エンジニアリング、そして演奏の大部分を担ったコラボレイト作だった。それを今度はジェリー自身が自分で歌ったのが本作である。オマケに数曲はジェフに提供したベーシック・トラックをそのまま流用。ヴォーカルやハーモニーを差し替えたり、一部楽器を加えたのち、リミックスして完成させたようだ。タイトル曲にポコのラスティ・ヤングが参加しているのも、その名残り。

対して新録曲<Home Again>では、シカゴを抜けて久々のソロ・アルバムを制作中と伝わるジェイソン・シェフが、ジェリーのファースト・ソロ『VAN GO GAN』以来となるクレジット。コーラスとハンドクラップが印象的なこの曲で、グルーヴ感のあるベースを披露している。<So Long Marni>のドラムは、ファウンテインズ・オブ・ウェインのブライアン・ヤング(ds)。彼は、スマッシング・パンプキンズのジェイムス・イハやファウンテインズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャーがアメリカの『HERE & NOW(インディアン・サマー)』(06年)をプロデュースした時に一緒に参加していた人だ。

収録曲の約半分が既発曲のリテイクとはいえ、楽曲クオリティはジェリーのソロ作の中で一番が安定しているかも。少年のような無邪気さとオトナの哀愁がバランス良く同居しているのは、やはりジェリーならではの魅力だ。