sammy hager the circle

あ、ザ・サークルって、いっ時だけのプロジェクトじゃなかったのね? …というわけで、ヴォイス・オブ・アメリカというに相応しいサミー・ヘイガーが、ヴァン・ヘイレン時代からの盟友マイケル・アンソニー(b)、お抱えギタリストのヴィック・ジョンソン、そしてドラムにジェイソン・ボーナムを迎えて結成したザ・サークルの4年ぶり2ndアルバム。夏前に出ていたようだけど、全然気づかなかったわ… ジェイソンがいるってことで、前作はヴァン・ヘイレン、サミーのソロ、そしてモントローズ時代の楽曲にツェッペリン・ナンバーまで引っ張り出した豪華ライヴ盤だったが、なんとビックリそれでは終わらず、こうしてスタジオ録音盤が出た。きっとチキンフット(サミー、マイケル、ジョー・サトリアーニ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス)がコンスタントに活動できないから、という事情もあるんだろうな。

でも個人的には、ザ・サークルの方がシックリくるかな? 何故なら音作りが大らかで、ゼップ譲りのスケール感があるから。ヴォーカルだけでなくギター・アンサンブルも聴きモノで、アコースティック・ギターを多用した楽曲も少なくない。楽曲はサミーの書き下ろしか、メンバーの共作。<Affirmation>のリフはアメリカン・ハードとして問答無用にカッコ良いし、<Trust Fund Baby>という曲は、完全にモントローズ<I Got The Fire(灼熱の大彗星)>の流用。でもシッカリとロニー・モントローズのクレジットがあるから、これはサミーからのリスペクトなのだと分かる。

つい最近、デヴィッド・リー・ロスが「ヴァン・ヘイレンはもう終わり」的な発言をしたというニュースがあったけれど、マイケル・アンソニーがサミー側に付いたのが大きかったか? ヴァン・ヘイレン一家で続けることは理論上不可能ではないけれど、オリジナル・ラインアップが揃わない限り全盛期のケミストリーは発生しないし、メンバーたちのモチベーションも上がらない、というコトだろう。看板に頼って半ばエンターテイメントとか化してしまったご本家より、ザ・サークルの方が、メンバーたちが自由に音楽を楽しんでいるように見える。

それにしても、このバンドをサミーのソロ・プロジェクトと矮小化して受け取ったか、日本発売がないのは合点が行かぬな。