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『LOFT SESSIONS OUTTAKES VOL.1 featuring female vocalists』発売記念 〜 CITY POP 今昔物語』@Rock Cafe Loft(新宿歌舞伎町)に足を運んだ。ゲストにアルバム『LEFT SESSIONS』の仕掛け人/プロデューサーである牧村憲一さん(音楽プロデューサー)、当時ビクター・レコードで宣伝を担当されていた川原伸司さん(レコード・プロデュ―サー/作曲家)、そして進行役にこのアウトテイク集を企画監修した吉留大貴さん。そのほか、このアルバムのシンガーお2人、高崎昌子さん(紀ノ国屋バンド)とうえむらかをるサンなどもいらっしゃてて、顔見知りの多い、楽しくもタメになったトーク・イベントだった。

当時の制作陣の要である牧村さん・川村さんの参加で飛び出した貴重な話の数々。もう時効…、と明かされた制作秘話やココだけの話も含め、どれもこれも超リアル。マニアの間で噂される都市伝説や、自分のようなライター/評論家による仮説・推論ではないから、そのひとつひとつがとても生々しくリアリティに富んでいる。

個人的には、制作側に立って、ひたすら良い作品作りに没頭していた牧村氏と、そのスタンスに大いに刺激を受けながらも売る側に立っていた川原氏の目線の違いが面白く。同じレコードに関わっていても、芸能界側の「商品」と文化サイドに立つ「作品」で差が出る、なんて、重々分かっちゃいたことけど、当時の現場にいた方々の声として聞くと、やっぱり説得力が違う。そんな貴重な話は、当時のことを資料・情報としてしか知らない若い人にこそ届けたいところ。でもやっぱり集まった皆さんの7〜8割は、エルダー層のマニアックなお客様なんだよな…

そして自分もこうしたイベント立案側に立つ人間として、自分だったらこうしたな、というのをいくつか。

せっかく牧村・川原両氏に集まっていただいたのだから、というのはよーく分かるのだが、『CITY POP 今昔物語』まで盛り込んだのは、少々オーヴァーフロウ。話は素晴らしく面白かったけれど、3時間半のトーク・ショウは些か長すぎで、主張を込めての日本のポップ史語りは、また別の機会を設けて良かったと思う。興味深い内容だっただけに、更なる展開も考えられたから、時間不足で端折ってしまってはもったいない。オマケに今回は、両氏に加えて今も現役のディーヴァ2人が来てくれたのだから、乾杯(実は紀ノ国屋バンド:川辺ハルト氏の献杯)の発声だけでは、こちらも役不足。この顔ぶれが揃う貴重な機会だっただけに、もっとテーマを精査して、本当に『LOFT SESSIONS』周辺に話を特化していた方が、より深い話が聞けた気がする。こういうのって、お一人お一人と打ち合わせした時には「忘れちゃった…」なんてことでも、当時のメンバーと一緒に話していると、様々な記憶が掘り起こされてくることが、ままあるからね。そういえば、レコード側の重鎮が揃ったのに対し、ライヴ・ハウス側の当事者もいなかった。

…とはいえ、ゲストの牧村・川原両氏、関係者、吉留さん他スタッフの皆さん、そして発売元の担当A&RのHさん、ホントご苦労様でした。今なればこそのイベントであるのは間違いないので、ここから進化しての企画第2弾にも期待しています。

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