air

レア・グルーヴ方面で静かに脚光を浴びた80年のAOR / CCM好盤『SHINE THE LIGHT』のグーギー&トム・コッポラ夫妻が、そのデュオ以前に組んでいた4人組:エアー。その唯一の作が韓国 Big Pinkで初紙ジャケ化され、少し前に国内仕様盤が発売された。オリジナル・リリースは71年、ジャズ・フルート奏者ハービー・マン主宰のレーベルであるエンブリオから。変形ゲートフォールド・ジャケ(盤をセンターから入れる仕様)は忠実に再現されたのに、 "AIR" のロゴの繰り抜きがスルーなのは残念だけど…。おそらく制作コストの問題なのだろう。日本で作る紙ジャケの再現性に比べ、やることが中途半端だな。でも初CD化から10年以上経っているので、出ただけでラッキーだけど。


内容はサイケデリック要素のあるジャズ・ロックの風情。時代的にAORになるはずもないが、グージーのヴォーカルには透明感と自由さがあり、どこまでも伸びやか。ローラ・ニーロと比較されるコトが多い人だけど、彼女よりは少しジャズ寄りで、フローラ・プリムにも通じるスピリチュアルな響きがある。現にグーギーはエアーで活動しながら、エルメート・パスコアールやアイアートのアルバムに参加し、フローラと共演しているから、その影響もあっただろう。

メンバーにもトッド・ラングレンズ・ユートピアで名を上げるジョン・シーグラーがベースで参加。レコーディングにはプロデューサーでもある御大ハービー・マンにヤン・ハマー、それにブレッカー兄弟やバリー・ロジャース(tb)といったドリームス勢がアディショナルで名を連ねる。楽曲提供には、やはり初期ユートピアで知られるムーギー・クリンクマンの名も。その後もレーベル仲間であるモリッシー・マレンの1st、ハービー・マンがクロスオーヴァー・ディスコに挑戦したハービー・マン&ファイアー・アイランドなどに参加。更にCTIとの関係を深め、フルート奏者ジェレミー・スタイグや、アレンジャーのデヴィッド・マシューズ、ジャズ・ヴァイオリンのジョン・ブレアーのリーダー作などで歌っている。このあと冒頭に書いたグーギー&トム・コッポラ名義の『SHINE THE LIGHT』をリリース。やがては本名キャロル・ブルックスに戻って、スティーヴィー・ニックスやボン・ジョヴィのセッションに登場した。

トムの方はシックやファットバックのセッションをこなした後、TVの音楽プロデューサーに転身し、大学の音楽部講師として教壇に立ったりも。00年代に入って演奏活動を再開し、08年には再びグーギーと組んでエアーを再始動。自主制作で2枚のアルバムを出している。そのうち AIR feat. Googie 名義の『CAN'T LET GO』は80年代に録音したと思しきアルバムで、アンソニー・ジャクソンやウィル・リー、ヨギ・ホートン、スティーヴ・フェローン、ヘイミッシュ・スチュアートなどの豪華メンバーが参加していてビックリ。ただし『SHINE THE LIGHT』に比べると、だいぶポップ・ロックに接近。聴き方によってはアイ・トゥ・アイにも近いので、気になる方は spotify などでご確認あれ。なるほどコレがあったから、スティーヴィー・ニックスやボン・ジョヴィなのだな…。