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ライトメロウなAORラヴァーズの間でジワジワと知名度を上げている、“フランスのネッド・ドヒニー” ことアル・サニー。アレキサンドレ・トライカードによるこのワンマン・プロジェクトがデビュー・アルバム『TIME TO DECIDE』を日本発売して、ほぼ半年。そして本国では約2年ぶりとなるニュー・アルバム『PLANETS』が、間もなくリリースされる。もちろん発売元は、P-VINEで展開中のカナザワ監修シリーズ【Light Mellow Searches】から。日本盤は独自の紙ジャケット仕様での登場だ。

収録曲は全8曲(タワーレコード限定でボーナス2曲追加)。ただし前作のネッド・ドヒニー<Get It Up For Love>のようなカヴァー曲はなく、グルーヴ・チューンもむしろ減少傾向。それに代わって、ゆったりまったりのメロウ・ナンバーが増えた。オープナー<How Does It Feel>なんて、マジ とろっとろ… ファンキーなのは、ジャミロクワイにも通じる<If You Lose Me>ぐらいで、低い重心で畳み掛ける<If Your Heart>も、BPMは抑えめだ。ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスのセンを狙ったかのようなブリージー・チューン<You And I>は、爽快なアートワークとの親和性を感じさせる。

収録曲に共通するのは、必要最小限に絞り込まれた音数の少なさ。サラリ聴き流せば何の変哲もないサウンド・メイクに聞こえるが、その実、選りすぐられた最上級の音だけが鳴っている。個人的には、ストリング・シンセサイザーであるソリーナの涼やかな音色が随所で活躍しているのが嬉しく、モーグやプロフェットの使用と相まって、70年代後半のサウンドの質感をうまく引き出している。

ゆったりフォーキーに始まりジワジワとグルーヴィーに盛り上げる<Should I>、泣きながら踊れる哀愁ダンサー<A Million Miles Away>は、アルのナイーヴなヴォーカルが聴きどころ。アルバム最後(本編)を締め括る<Planets>は、スキャット入りのインストゥルメンタルだ。

根本的なベクトルは前作1stの延長線にある。でもリズム隊こそチェンジしたものの、アルがイニシアチブを握り、恩師フローリアン・ペリシエがそれをサポートする形はそのまま。前作をお気に召した方なら、手に取って損はない。

なお今年も残り2ヶ月あまりながら、ここからの Light Mellow Searches はかなりの力作揃いなので要注意ですヨ!