incognito 019

結成40周年を迎えたインコグニートの、3年ぶりとなる新作。でも、だからと言って気負った感はなく、ほぼいつも通りのインコグニート。でも近作の中ではアーバン度が高めというか、ダンス曲のノリが緩やかになって、サラリと聴きやすさが増した。全般的にミディアム・チューンが多いかな? もっともそれは彼らのライヴに足繁く通う熱心なファンには、ちょっと物足りなく感じるのかもしれない。

今回の目玉となるのは、テイク6、マリオ・ビオンディ、フィル・ペリーといった豪華ヴォーカル陣の参加である。まず2曲目<For The Love Of You>に登場するのがフィル・ペリー。インコグニートを代表する名シンガー、メイザ・リークとの熱いデュエットで、アルバム序盤を飾る。それに続いて<The Weather Report>に登場するのが、テイク6。楽曲もブルーイとリチャード・ブル、テイク6のマーク・キブルの共作で、彼らのシグネイチャーたるヴォーカル・パフォーマンスを楽しませてくれる。

マリオ・ビオンディが歌うのは、アルバムも終わりに近づいた13曲目<No Show>だ。この組み合わせというと、真っ先に『TRAMSATLANTIC R.P.M.』所収の<Lowdown>カヴァーや<Can't Get Enough>を思い出すが、ココでは一転、ジャジーなアプローチに乗って、特異なバリトン・ヴォイスを響かせている。

その他、常連シンガーのジョイ・ローズとイマーニ、ネオ・ソウル・バンド:ヤクルのシンガー・ソングライターであるジェイムズ・バークリー、若手シンガーのチェリ・V、2年前のジャパン・ツアーに参加したロベルタ・ジェンティーレといった、インコグニートにとって新旧の実力派シンガーたちが、代わる代わるリード・ヴォーカルを担当。全体的に落ち着いたトーンの中で、それぞれにコクのある魅力的ヴォイスを聴かせてくれる。インコグニートといえばキレのあるグルーヴが何より魅力だったが、今作のポイントは、そうしたヴォーカル陣の充実。個人的には、以前にも共演しているヴァネッサ・ヘインズとインドネシアの天才的ハーモニカ奏者レガ・ダウナ(昨年シトラス・サンにゲスト参加)をフィーチャーした<Still The One>が、一番印象に残った。

う〜ん、ひたすら踊って発散したいインコグニート・ファンには、多少不満が残る新作かもしれない。でもそうした姿に、そろそろマンネリを感じていたのも事実。定型インコグニートでストレス解消を求める方には12月のライヴに行ってもらって、自分はこの ひと皮剥けたインコグニートをジックリ堪能したいな。