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22日(金)夜は、ヴァーチャル・シンガー Emma Hazy Minami のライヴ『EMMA's BAR in TOKYO』@Billboard cafe & dining に参戦。…といっても「誰それ?」という方が多いと思うので、ちょっと説明しておこう。Emma は YouTubeを中心に活動している、歌うYouTuber。設定は、仮想世界の片隅にあるバーチャル・ミナミのクラブに出没するミステリアスなシンガーで、生歌・生演奏のライヴ配信を行ってきた。なので実体のないキャタクターでありながら、Youtubeチャンネルでは生身の女の子が姿を見せずに関西弁丸出しでお喋りして、イイ歌を歌っている。実際は、ABCテレビがバックアップするヴァーチャル・YouTuberアクター・オーディションで選考。実力は確かなのだ。しかもその若〜い彼女が、70〜80年代のシティ・ポップを歌うのである。

YouTubeの番組で多くのカヴァーを歌ってきて、約1年。それをアルバムにまとめてデジタル・リリースし、更にレコチョクが運営するクラウドファンディング WIZYで資金を募って、CD/アナログ盤をは作る。カナザワが Emma を知ったのも、ある人を通じて、そのフィジカル・リリース用に解説を書いて欲しい、という依頼があったからだ。



シティ・ポップ・カヴァーということでカナザワに白羽の矢が立ったのだろうが、アナログ寄りの人間としては、この手のアーティストにはやはり身構えてしまう。まずは音を聴いてから、ということで、一旦判断を保留。でも楽曲リストを見て、「はぁ〜〜
『EMMA HAZY MINAMI Cover Selection1 -Midnight Lady-』の収録曲は以下の通り。

SONGS / ORIGINAL ARTIST
1. Plastic Love /Mariya Takeuchi
2. 真夜中のドア/Miki Matsubara
3. テレフォン・ナンバー/Junko Ohashi
4. 夢の続き/Mariya Takeuchi
5. 真夜中のジョーク/Takako Mamiya
6. Just a Joke/Yurie Kokubu
7. Midnight Pretenders/Tomoko Aran

ね。コレ、かなりブッ飛ぶチョイスでしょ? 実際に歌っているのは、まだ20歳代前半と思しきシンガーだよ。当然、好きモノの黒幕がいるのは明らかだけど、まさに今のシティ・ポップ・ブームの最先端。ド定番だけでなく、アッと驚くDJっぽいセレクトなのだな。

その上、サウンドメイクがマジ凝ってる。YouTubeでは毎週新しいカヴァーを上げているから、それほど作り込んではいないのだが、アルバムの音は「コレは本物」と思った。ぶっちゃけ、視聴してチャッちかったら丁重にお断りするつもりだったが、コロリと納得。アレンジや演奏陣は、やはりみんなそれなりのキャリアを持つ若手ミュージシャンたちで、知っている名前が多かった。なるほど、ヴィジュアルはヴァーチャルでも音は本格派で、というワケだ。だからこそ、真の音楽ファンにも訴求すべく、ミュージック・マガジン11月号に出稿したり、見開きページで記事が組まれている。カナザワへの原稿依頼も、そういう意図があってだろう。

収録曲<Plastic Love>のMVは、モデル・女優のトリンドル玲奈が主演。実際のEMMAのイメージにちょっと近いな。



…というワケで、ヴァーチャル・シンガーの初の顔見せライヴ 地元大阪でストリート・パフォーマンスを経験しているとはいえ、ライヴ慣れしてないのは明らかだった。それでもあまり物怖じしない性格なのか、初の面出しライヴにして、見事にYouTubeの天然キャラを通している。演奏は番組と同じく、Aaugのピアノに、曲によって同期を使用。ゲストでDJのミカヅキBIGWAVEが参加した。

《Set List》
1. 接吻
2. Plastic Love
3. テレフォン・ナンバー
4. 愛を伝えたいだとか
5. シャルル
6. 命に嫌われている
7. hazu (original)
8. metro(original新曲)
-- ミカヅキBIGWAVE DJ time / 抽選会 --
9. LA LA LA LOVESONG
10. Midnight Pretender

中盤は半ばファン・ミーティングと化したライヴだったが、予想よりオーディエンスの年齢層が高く、中心は20歳代後半〜30歳代。ディナー/記念品/軽いミート&グリート付きというスペシャル・ライヴで結構エキスペンシヴというのが、その理由だろう。でも抽選会で当選して、その場で即興の歌をプレゼントされた20代の若いファンは、感激の涙を流していたな う〜、ピュアだ… 自分にはもうスッカリ、そういう気持ちが消え去ってしまったヨ…

CDやアナログは限定アイテムということで、カナザワのライナーをお読み戴くことは叶わないけど、上に貼った<Plastic Love>で、その魅力は伝わる。とにかく 歌の表現力が豊かなのだ。ライヴ・アーティストだとミテクレやインパクトに頼りがちだが、ダイレクトにリスナーに行き着く分、ヴィヴィドかつ繊細な表現が可能だ。何れにせよ、ヴァーチャルであろうがなかろうが、イイ歌を歌って届けたい、というEmma の思いはシッカリ伝わってきた。

DJを迎えてのオリジナルは、逆にそれを削いでしまって普通に今ドキのJ.ポップになってしまっているように感じたけれど、シティ・ポップにこだわらないところでリアルなアーティスト像を打ち出していけたら、このプロジェクトはもっと面白くなるだろう。カナザワが貢献できることがあって、足並みが揃っているうちは、積極的に応援したいところである。