sven larsson

今回は、先に発売されたマイク・デラ・ベラ・プロジェクトと並んで、TOTO系もしくはメロディック・ロック〜メロディアス・ハード系AORファンの方々へ、クリスマス・プレゼント的な情報を。2010年にスウェーデンで発売された隠れ人気のAOR好盤が、熱い要望にお応えする形で、ここに日本発売されるのだ。

それは97年にデビューした北欧AORの名バンド:ストリート・トークのギタリストだった、スヴェン・ラーションの初ソロ・アルバム『SUNLIGHT AND SHADOW』。アートワークからも分かるように、メロディック・ロックとしての支持が厚かったストリート・トークを更にアメリカンナイズさせ、スヴェンの幅広い指向性を示した一枚だった。

実を言うとこのアルバム、2010年当時に日本発売の打診があった。しかし中身の充実度とは別の次元で、日本で好まれるAORとは多少距離があったこと、ストリート・トーク自体がコアな北欧メロディック・ロック・ファンにしか浸透しておらず目立ったゲストも入っていなかった、などの理由から、国内発売を見送った経緯がある。しかしドイツで出たオリジナル・アルバムは、アッと言う間に入手困難に陥り、メロディック・ロックやメロディアス・ハード系のAORを愛でるファン、そのファンと直に接するバイヤー諸兄の間で、日増しに再発を望む声が高くなっていたそうだ。近年の北欧AORシーンの盛り上がりで、そうしたリクエストがこちらに届き、ココに復刻が実現したワケである。

さてそのスヴェン。影響を受けたのは、クイーン、TOTO、スティーリー・ダン、ELO、10cc、ジョニ・ミッチェルなど、かなり広範。ギタリストでは、ゲイリー・ムーア、スティーヴ・ヴァイ、イングウェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ルカサー、ジェフ・ベック、アラン・ホールズワースに、ちょっと珍しいところでマホガニー・ラッシュのフランク・マリノの名を挙げている。ジミ・ヘンじゃなくてフランク・マリノ、と言うのが如何にもこの世代。きっとウリ・ロート(元スコーピオンズ)なども好きなんだろうな。収録曲には、敬愛するTOTO<Africa>のグルーヴをモチーフにした<It’s Over>や、スティーリー・ダンによく似たシャッフル・ナンバー<Daydreamer>も。

既にリリースから10年近く経過しているので、その間に2枚目のソロ作も発表済み。13年には、翌年亡くなるTOTO2代目シンガー:ファーギー・フレデリクセン生前最後のアルバム『ANY GIVEN MOMENT』にも参加していたので、スヴェンの名をご記憶の方もいるだろう。

我が監修シリーズでメロディック・ロックやメロディアス・ハードを手掛けるつもりは毛頭ないけれど、王道AORに寄せた作品でクオリティが高いなら、積極的に紹介していきたい。キモになるのは、ジャズやソウルなどを取り込むクロスオーヴァーなセンスかな。

このアルバムの正式リリースは年明け一番の1月8日。現時点では、熱心に再発をオススメしてくれたタワーレコード新宿の店頭のみで、大先行発売されています。