allee willis


2度グラミー賞を受けた米国音楽シーンを代表する名作詞家のひとり、アリー・ウィリスが、クリスマスの24日、心筋梗塞のため、L.A.の病院で亡くなった。享年72歳。アース・ウインド&ファイアー<September>や<Boogie Wonderland>、<In The Stone>を筆頭に、ポインター・シスターズ、パブロ・クルーズ、ディオンヌ・ワーウィック、ダイアナ・ロス、リタ・クーリッジ、メリサ・マンチェスター、ヴァレリー・カーター、マキシン・ナイチンゲール等などにヒット曲多数。かのエアプレイでも、<It Will Be Alright>や<Leave Me Alone>をデヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドンと共作している。…っていうか、彼ら2人とアンドレ・クラウチのクワイアで歌っていたハイトーン・シンガー:トミー・ファンダーバークを引き合わせ、エアプレイ3人目のメンバー誕生の布石を打ったのが、アリーその人だった。

アリーの出身はデトロイト。モータウンの音楽と共に成長している。ウィスコンシン大卒業後にニューヨークのコロムビア(CBS)レコードに就職し、広告宣伝部でコピーライターの仕事をしているうち、趣味で作ったデモ・テープが上司に認められ、74年にエピック・レーベルから『CHILDSTAR』でデビュー。ジェリー・ラガヴォイ制作の下、スティーヴ・ガッドやトニー・レヴィン、デヴィッド・スピノザ、レオン・ペンダーヴィスらが参加した。でも内容にトンがったところは無く、アートワーク通りの楽しくオールド・タイミーなアメリカン・ポップ作品。ちょいと素っ頓狂なベイビー・ヴォイスも、ユーモアに富んでいた。ところがこれがまったくの不発。それでもコレを聴いたボニー・レイットから楽曲提供の話が舞い込み、アリーはカリフォルニアへと向かう。そこでデヴィッド・ラズリーと曲を書き始め、モーリス・ホワイトへと人脈が広がっていった。

L.A.でのアリーはAlmo Irving という音楽出版社と契約。当時作ったナンバーの一部は、Almo Irving が作った楽曲売り込み用の2枚組サンプラーに集約されている。そこには主に各アーティストの完パケ・ヴァージョンが収録されているが、何と デヴィッド・ラズリー、アーノルド・マッカラー、デニース・ウィリアムス、デズモンド・チャイルドらが歌っているデモ・ヴァージョンを併せて収録。アースでお馴染みの<Boogie Wonderland>も、作曲者でARCレーベルのスタッフを務めていたジョン・リンド(元フィフス・アヴェニュー・バンド)が歌っている貴重なヴァージョンだった。
Allee Willis Sampler album

一時はプロデュースにもトライ。ハーブ・アルパートの愛妻ラニ・ホール『BLUSH』(80年)などを手がけたことがある。アリーのサイトhttps://www.alleewillis.com を見ると、彼女の天然なキャラクターが分かるだろう。18年にシンガーソングライターの殿堂入り。

Rest in Peace...