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昨日11日は、ローニン@Billboard Live Tokyo 2nd Show。ローニンの来日は、81年9月に横浜スタジアムで開催されたイベント『カリフォルニア・ライヴ』以来39年ぶり。その時彼らは、ジェイムス・テイラー、J.D.サウザー、そして彼らがバックを務めるリンダ・ロンシュタットらのオープニング・アクトとして出演…、したそうだ。残念ながらカナザワ、このライヴは観に行っていないのだが…

ローニンのメンバーは、ワディ・ワクテル(g)、ダン・ダグモア(g)、スタンリー・シェルダン(b)、リック・マロッタ(ds)という西海岸ロック・シーンを代表する4人の熟練音職人たち。最近はワディ以外、名前を見る機会が減っていたけど、ダニー・コーチマー&イミディエイト・フレンズの一員としてスッカリその気になったワディの目論見でメンバー全員が引っ張り出され、若い頃と同じように、やんちゃにロックン・ロールしちゃおう〜、というライヴだ。

イミディエイト・フレンズのライヴでも、一番アクティヴでムード・メイカーになっていたワディ。当然あちらにはダニーという重鎮がいたが、ローニンはそのままワディのリーダー・バンドだから、彼の意向がそのままバンドの方向性になる。そしてその音はリンダやJ.T.というより、ワディがキース・リチャーズと演っていたエクスペンシヴ・ワイノーズ寄りのストーンズ的指向で。

リード・ヴォーカルは主にワディで、ダン・ダグモアも3〜4曲ほど。そのダンは何曲かでペダル・スティールを披露したが、その使い方はカントリーやスワンプのそれではなく、ほぼロックン・ロールのスライド・ギターのようなスタイルだった。唯一のアルバム(81年)ではビル・ペインや故ドン・グロルニックが一部楽曲に参加して鍵盤を弾いていたが、ライヴはもちろん4人だけ。ワディとダンの2本のギター・アンサンブルは、レコードほど緻密ではないにしろ、一見ラフなようでシッカリ噛み合っていたから、実は結構リハーサルを重ねてきたのだろう。ワディはシールドをダイレクトにアンプに突っ込んでいて、ビックリのノー・エフェクト。ダンの足元にはいくつかエフェクターが並んでいたものの、こちらもハイスクール・バンド並みにシンプルで。しかもそれぞれのギター・アンプが、ちゃんとベースとドラムを挟んでL⇔Rに配置されている。ワディがギターをフィードバックさせる時、わざわざシェルダンを避けて下手のアンプの前へ行くのだ。そんなモン、PAでパンしちゃえばイイじゃん、と思ったが、シッカリとアンプの出音にまでこだわっていたのかしらね? 

ピーター・フランプトンで馴染みの深いスタンリー・シェルダン、そしてドラムのリック・マロッタも、時々コーラスを取ったのもちょっち意外で。そしてそのマロッタのドラムが、エラく肉厚かつ重量感たっぷりなのにグルーヴ感がすごくて、これまた感心。それこそハッタリ感のない、腕っぷしで叩くようなシンプルなドラミングなのに、ハイハットだけは時々小ワザを挟む。やっぱりスティーリー・ダンに重用されたドラマーの一人だけあるわ〜。ただしスネアだけは、意外にミス・ヒット(スネアがキレイにヒットせずリム・ショット気味になる)が多い気がしたんだけど、あれは狙いだったのか? 最初はセッティングの問題?と思ったが、本人が修正しようとしてなかったし。終演後、沼澤タカさんに会ってしばし歓談した際に訊きゃーよかった…

セットリストはフォトの通りで、アルバム9曲中7曲を披露。<The Loner>はニール・ヤングの曲。<Slide Slow>はローニンの2nd用に用意されていた曲で、去年出たワディのデモ集に入っている。12曲目<Desilu>はカット。人気曲<America The Beaufiful>を外したのは、今のアメリカを憂えているから? ラストはチャック・ベリーの楽曲で、ストーンズも『LOVE YOU LIVE』に収めていたもの。やっぱりワディが目指すのは、ギミックのない西海岸流ロックン・ロールなのだな。

ちなみにローニンの東京公演は1日2ステージだけということで、ミュージシャン観戦率が高く、タカさんの他にも、(根本)要さんと佐橋(佳幸)さん、ギターの渡辺格さん、臼井ミトンさんなどと遭遇。いやぁ〜、みんなロック魂をソソられちゃったんじゃないか? 最後はサイン会の前にバックステージに顔が出せたので、ワディとパチリ。「10年前に出たローニンの初CD化は、自分がレコード会社に持ちかけたんです」(解説は天辰さんにお願いしました)と伝えると、ガッチリ肩を抱いてくれました

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