eli's second coming

昨日に引き続き、マイアミ・ソウルのメッカ:T.K.グループの再発モノから、エリズ・セカンド・カミング。コレ、最初に再発情報を知った時、名前を見てもジャケを見ても全然ピ〜ンと来なかったんだが、フィリーの重鎮で M.F.S.B. のプロデューサーだった ボビー・エリ(イーライ?)のディスコ・プロジェクトのコトだったのね。彼がそういうのを出していたのは知識として知っていたけど、この辺りはあまり積極的には蒐集して来なかったので、カナザワ的には初見参となる。

リリース元は、ポップス系のベテラン・プロデューサー:ジョエル・ダイアモンドのレーベルであるシルヴァー・ブルー・レコーズ。最初はポリドールが配給していたものの、75〜77年の3年間はT.K.がディストリビューション。後にグロリア・ゲイナーのアルバムも出すものの、この時期はロクに稼働しておらず、T.K.経由のアルバム・リリースは、ほとんど契約切れ寸前の77年に出したコレ1枚、と言って良いようだ。解説が T-GROOVE氏というコトは、彼のリクエストだったのかな? さすが、現代のディスコ物発掘王。

ボビーにとっては、コレが唯一のリーダー・アルバム。なのに "2nd Coming" なのは、アルバム冒頭に入っているスリー・ドッグ・ナイトの全米トップ10ヒット<Eli's Coming>をカヴァーしているから。この曲を書いているのがローラ・ニーロで、つまりは彼女の2作目『ELI AND THE THIRTEEN CONFESSION (イーライと13番目の懺悔)』(68年)に収録された<Eli's Coming>に因んでいるワケだ。それ勝手に自分の歌と解釈しているのだな ただしBPM高目のイケイケ4ッ打ちビートで、オーケストラと女性コーラスを使い倒すド派手な手法は、まるでアース・ウインド&ファイアー<Boogie Wonderland>の元ネタのようで、個人的嗜好には合致せず。

ならむしろ、プリンス<Kiss>みたいなギターに導かれるミディアム・ダンサー<Love Chant>の方が好き。ボビーとロン・カーシー、フィリーの女性ヴォーカル顔役バーバラ・イングラムの共作で、ディスコ・チャート20位、R&Bチャート88位とヒットもしている。ヴィンス・モンタナのヴァイブ・ソロもイイ感じだし、終盤はエロエロな男女の喘ぎ声の実況中継 最後はチャンとク〜イして、ドラムがスロウ・ダウンして果てる イヤ、別にソコが好きなワケじゃないのだが…

個人的に嬉しかったのは、ボビーが作編曲プロデュースを手掛けて大ヒットしたメジャー・ハリス<Love Won't Let Me Wait>(R&B首位/全米5位)をインストで演っていること。ちょうど今朝、アヴェレイジ・ホワイト・バンドのカヴァー・ヴァージョンを聴いたばかりで、まさかの偶然の符号だった。

トータルのサウンドは、ほぼほぼM.F.S.B.。<Why Don'cha>のエグいベースは、シックのバーナード・エドワーズや後年のニューヨーク・ファンクのプレイ・スタイルにも通じるし、バグパイプを使った<Hop-Scotch>のアイディアは、如何にもキワモノ使いで話題作りを狙うディスコ企画らしい。マイアミのT.K.でフィリー・ディスコをやってしまったという意味でも、面白いアルバムです。