kinmokusei 019

昨日、LIVE Light Mellow Vol.2.5 のリハーサルで、脇田もなりチャンやアマネトリルの若い歌声を聴いていたせいか、今日は気分がシティ・ポップ・モード。去年あたりから顕著になったブーム化で、随分と胡散臭いニュー・カマーが増えてきて、ちょっとハスに構えているカナザワだけど、この連中が戻ってきたのは素直に嬉しい。活動を再開したキンモクセイ、14年ぶりのニュー・アルバム。初期の頃は取材もしたし、ライヴも観に行ったなぁ〜

バンドが止まっている間、牽引役の伊藤俊吾がソロ・アルバムを出したりしたけど、個人的にはもう一つ乗れなくて…。そのためこの再結成劇も遠巻きに見ていた感じ。そして発売から1ヶ月近く遅れてアルバムをゲットしたところ、なんかリラックスして気楽に聴けるイメージで。大手プロダクションに所属して半ば芸能界ノリで活動していたオリジナル期ほどには肩に力が入ってなくて、程よく自然体。その分スカを演ったり、オキナワっぽかったり、GSだったりと、メンバー個々の趣味がそのまま音に出ている。それをバラエティに富んでいると見るか、まとまりがないと見るのか…。でも彼ら、このアルバムに敢えて「ジャパニーズ・ポップス』と命名しているのよね。“シティポップ” ではなく。だから以前よリハ路線に縛られず、ある程度 自由にやっていくつもりなのだろう。

実際メンバーたちは、10年以上もバラバラだったワケで(一緒にユニット組んでいた人もいるが)、無理にひとつのベクトルを目指せば、絶対に何処かに歪が出る。元々地元繋がりで出てきたバンドなので、このラインアップだからこそ生まれてくるケミストリーがあるはず。でなければ、天才的歌唱力を持つ伊藤俊吾がソロでやっていきゃあイイわけで、まずは皆んなで楽曲持ち寄って、若干の試行錯誤をしながら、これから本格的に進んでいく方向を探すのがイイと思う。

とにかく、伊藤のウェットなクルーナー・ヴォイスは天下一品だと思うし、それをキャッチーな和製ポップスに乗せるキンモクセイらしさはチャンと生きていた。<二人のアカボシ>のようなインパクトのある曲はないけれど、あんなに溌剌とした勢いのある曲は、年齢的にもう出てこないだろう。でも今はそれに取って代わる経験があり、曲作りや演奏面での知識、スキルがある。(高橋)ユキヒロさんのクセっぽい歌い口に似せるのはチョイやりすぎと感じたけれど、サディスティック・ミカ・バンド全盛期を思わせるグルーヴィーな<都市と光の相対性>は絶品。小原礼さん張りのグイ乗りベースに、かなりヤラレてるカナザワです

まぁ確かに、昨今のシティ・ポップ・ブームを意識しての活動再開ではあるのだろう。でも同時に、このタイミングで出てくる音楽的必然性もチャンと伝わってくる。ママレイド・ラグ、ゴメス・ザ・ヒットマンなどと共に、00年代にシティポップを歌い継いで悪戦苦闘し、そのまま討ち死にしかけていた連中が、再度息を吹き返しているのは嬉しいな。お〜い、流線形はまだかッ