crackin 1

発売が近くなってきました! 些か早すぎた白黒混成大型バンド:クラッキンの1st が、拙監修【Light Mellow's Choice】from VIVID SOUND から 韓国 Big Pink 制作の紙ジャケット輸入盤国内仕様で。2〜4作目は早々にリイシューされ、【Light Mellow's Choice】で紙ジャケ化(日本制作)もしてきたが、この1作目はレーベルが異なることもあって、これまで未CD化のままだった。もちろん何度かトライしてきたが、本国からは無しの礫。それだけに貴重な初CD化ではある。

クラッキンのデビューは、プレAOR期とも言える75年のこと。この時点では、後にグループ中核に座るピーター・バネッタはまだ不参加で、ポール・マッカートニーの右腕となるブライアン・レイの姿もない。でも他のメンバー6人、すなわち レスリー・スミス(vo, perc, ds)、アーノ・ルーカス(vo, perc, ds)、リック・チューダコフ(b)、レスター・アブラムス(vo, kyd, ds, perc)、ボブ・ボーディ(g)、ジョージ・T. クリントン(kyd)はもう顔を揃えており、人種を超越した自由闊達なフォーマットから繰り出すハイブリッドなシティ・ソウルは既に礎を築いていた。主要メンバーたちの出会いはネブラスカ州オマハだが、前身時代は集合離散を繰り返しながらウッドストックを拠点とし、結果的にこのラインアップが揃ったのはサンフランシスコ。そのあたりの足跡は、ライナーに詳しく書いてある。

昨今のイメージでいうと、グループ解散後の80年代にプロデュース・チームとして成功したリック・チューダコフ&ピーター・バネッタと、ソロ作を出しているレスリー・スミスが主導したグループと思われがちだ。でもこの頃の音楽的リーダーはレスター・アブラムス。実際この『CRACKIN’-1』のクレジットを見ると、単独リード・ヴォーカルが一番多いのはアーノ。レスリーは意外にも1曲に止まり、2人一緒か、もしくはレスターも加えた3人でリードを分け合うパターンが多い。ドラムはほとんどレスター。アーノとレスリー、3人ドラムが叩けるのだから、ドゥービー・ブラザーズよろしくダブル・ドラムスの曲を増やしても良かったと思うが…。しかもレスターは鍵盤も5曲プレイしている。アレンジはバンド全体で手掛けているが、レスターが初期クラッキンの牽引役だったのは間違いないだろう。最終作『SPECIAL TOUCH』前にバンドを離れているため、クラッキンの最後を見届けることはなかったが、ワーナー期にマイケル・マクドナルドが作曲パートナーに 選んだのもレスターだったから、やはり彼が音楽的中心人物だったのは間違いなさそうだ。

レスター色が濃厚なこの1st が一番ファンキー、というコトは、彼の指向性も推して知るべし。なるほど彼がキーボードに向かうとクラヴィネットを多用するのも納得がいく。ゲスト陣にもサックスにスライ&ザ・ファミリー・ストーンのジェリー・マルティーニと、サンタナの名パーカッション奏者ホセ・チェピート・アリアスだから、濃ゆさ増幅。つまり時代を追って黒さが抜けていき、やがてレスター自身にも居場所がなくなってしまった、というのがクラッキンの歴史なのだな。