andy bown 3

70年代ブリティッシュ・ロック界の重鎮キーボード奏者の一人、アンディ・ボウンのソロ3枚目、76年発表の『COME BACK ROMANCE, ALL IS FORGIVEN』が、韓国 Big Pinkで初CD化。その国内仕様盤が出た。以前からステイタス・クォーのサポートを務め、80年代から正式メンバー、というとライトメロウ・ファンはちょっと引いてしまいそうだが、実はこの人のキャリアはもっと広範でディープ。ハード・ブギーが身上のステイタス・クォーのメンバーといっても、そう短絡的ではない(もっともブギーという言葉の意味も今は全然変わっていまっているが…) 当時のUKには、アラン・ボウンというロバート・パーマーやジェス・ローデンを発掘したトランペット奏者も近くにいたのでヤヤこしいが、ココはどうぞお間違えなく。

アンディ・ボウンが最初に知られたのは、ピーター・フランプトンのデビュー・グループ:ザ・ハード(The Herd)の一員として。2人の共作曲も多く、彼らがグループの牽引役だった。しかしフランプトンがアイドル視され、反発した当人がグループを脱退して間もなく解散。その後は、エリック・クラプトンのバックなど著名セッション・ドラマーになるヘンリー・スピネッティらとのジューダス・ジャンプを経て、アンディもまたセッション活動を行ないながら、ソロ・アルバム制作に向かう。ピーターがハンブル・パイ脱退後に作った初ソロ『WIND OF CHANGE』でも、少なからぬ貢献をしていた。

英EMIから登場したこのアンディのソロ3作目は、後にジューダス・プリーストで名を挙げるトム・アロムのプロデュース。トムは当時、ストローブスやツーリスト(アン・レノックス多デイヴ・スチュワートがいた)を手掛けていたエンジニア上がりの人だ。そしてバックには、ゴンザレス周辺のグレン・レフルー(ds)やテリー・スタナード(ココモ)など、パブ・ロック寄りのUKセッション・ミュージシャン人脈が参加。コーラスにもココモの3人、ダイアン・ダーチ、フランク・コリンズとパディ・マクフューが顔を出している。彼らがイイ感じのハーモニーを聴かせる<Good Eniugh Reason>なんて、かなり良質なアーリーAORなんだけどな。

アンディは78年に4作目のソロ『GOOD ADVICE』を出していて、こちらではアコギとヴォーカルを担当。プロデュースは、ジェラード・ケニーやマーシャル・ヘイン、シーナ・イーストン、マイク&ザ・メカニクス、セリーヌ・ディオンなどを手掛けたクリストファー・ニール。同じ人脈に属するブガティ&マスカー(ザ・デュークス)、ブリス・バンドのフィル・パーマー(g)も参加していた。これは英国産AORの隠れネタとして、要・再チェックだな。