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来週25日に 我が Light Mellow Searches からリリースされるステイト・カウズの、6年ぶりとなる3rdアルバム『CHALLENGES』をご紹介。現在進行形のAOR シーンにあって、すっかり大国的イメージが定着している北欧・スカンジナビア。その中でステイト・カウズは、ノルウェーのオーレ・ブールドに次いで “人気” と “らしさ” を共存させたアーティストになりつつある。

彼らはヴォーカルとギターのダニエル・アンダーソン(1980年生まれ)と、キーボード奏者でギターやベースも弾くステファン・オロフソン(1976年生まれ)のツー・メン・ユニット。元々はスウェーデン北部の街ピーテオにある音楽学校の先輩・後輩で、ビートルズと米ウエストコースト・サウンドが大好きということで意気投合。ダニエルが08年に『DAYS IN L.A.』なるソロ・アルバムを作り、ステファンもプロデューサー的に関わったのをキッカケに、次のソロ・プロジェクトが発展してステイト・カウズになった。10年にドイツのメロディック・ロック系レーベル:Avenue Of Alliesから欧州デビュー。13年に2nd『THE SECOND ONE』を出している。1stにはジェイ・グレイドン、2ndにはジェイに加えてビル・チャンプリン、マイケル・ランドウ、パイロットのギタリスト:イアン・ベアンソン、そして同郷の先輩ピーター・フリーステッド(g)が参加している。

6年のインターヴァル中も、『THE SECOND SECONDS』(14年/日本では2nd『THE SECOND ONE』にボーナス収録)と『STEALING THE SHOW』(16年)の2枚のEPをリリース。ダニエルはセッション・ギタリストとして、スウェーデンの大物アーティストやカヴァー/トリビュート・バンドと仕事をしていた。

今回の新作『CHALLENGES』にもマイケル・ランドウがゲスト参加。十八番のスティーリー・ダン的楽曲を始め、ちょっぴりペイジス/Mr.ミスター風の展開を見せる<I Got the Message>や<Human Ladders>も収録される。一番話題になりそうなのは、スウェーデン出身の人気DJ/音楽プロデューサーで、18年に劇的な死を遂げたアヴィーチーのカヴァー<Waiting for Love>だ。
「モダンなEDMソングのヨット・ロック化を試みた。ところがこの曲は、僕らが想像していたよりずっとトリッキーなことが分かったんだ。メロディをうまく載せるのと、アレンジに隙間を持たせるのに苦労したよ」(ステファン)
「彼の曲をいろいろ聴いて、この曲なら“西海岸化”を実現できると思った。それにアヴィーチーはあまりにも早く悲劇的に逝ってしまったので、彼へのオマージュでもある」(ダニエル)

日本盤ボーナス・トラックは2曲。うち1曲は何と、TOTOの名曲<Georgie Porgy>のカヴァーだ。元々は10年前にデジタル・リリースしているが、昨年新たにリミックスされ、それをココに収めた。彼らが一緒にL.A.へ交換留学に行っていた頃に録られたものがベースで、ジェイソン・シェフのコーラス以外のトラックは、すべて作り直しているという。

現在はダニエルがスウェーデン、ステファンはギリシャ在住。故にフェイス・トゥ・フェイスの共同作業が減り、その分ステファンが演奏、アレンジ、楽曲の組立てで大きな役割を果たした。彼は今、ステイト・カウズとは別にソロ活動も展開している。完全にスタジオ・ユニットとして活動してきた2人だが、要望が高まればライヴも検討するとのこと。是非とも皆さんで盛り上げて欲しい。