geyster live

フランスのマルチ・ポップ・クリエイター:ガエル・ベンヤミン率いるガイスターが、キャリア初のライヴ・アルバムをリリース。既に昨年デジタル・リリース済みだが、フィジカルは輸入盤で発売済み。拙解説付きの国内仕様盤は、来週22日の発売になる。ガイスターの近作は【Light Mellow Searches】from P-VINE からだったが、今回は輸入盤ベースなので、ディスクユニオン系の Think! から。ありがたいコトに、発売元が違っても拙ライナーです…


…にしても、宅録野郎のガエルなのに、ライヴもこんなに良いとは…。偏見かもしれないけれど、宅録系のオタクって、往々にしてバンド経験が乏しかったりするので、楽器の演奏スキルはあまり期待できなかったりする。簡単に手直しできちゃうワケだし、微細なピッチのズレやリズムの揺れは簡単に修正できる。逆にクオンタイズでキレイに整えすぎると機械っぽく聞こえてしまうため、最近はナマらしさを表現するためにズレを生むソフト(ヒューマナイズ、あるいはランダマイズと呼ばれる)もあるほどだ。それ故、実際にライヴ・ステージを観てみないと、アーティストの真の実力が分からなくなっている。

でもそこは、もともとジャズ好きだった人。初期メンバーだった女性シンガー:ベルニラ・グロンランドと出会ったのもL.A.の音楽学校で、ジャズへの興味を共有して一緒に活動するようになった。だから、ちゃんと生でもキーボードを弾けるのは分かっていたのだが、どうにも予想以上に気持ち良いのよ、このライヴ。

とりわけガエルが弾くフェンダー・ローズの揺らぎ感が心地良く、ソロも軽快に弾き飛ばす。そりゃあ〜ジョー・サンプルやボブ・ジェームスあたりとは比較にならないけど、スタジオで構築したオリジナル曲をライヴ・パフォーマンスするには充分。ギター、ベース、ドラムにサックスというバック・バンドの面々も相応の実力があり、センスもなかなか。ガエルのヴォーカルにも安定感があって、普段スタジオに籠っている人とは思えない。そもそもがスタジオ・ライヴなのでミュージシャンとオーディエンスの距離も近く、臨場感バッチリ。

収録曲は7曲で、リニューアルしたばかりの『DOWN ON BROARDWAY』から3曲。興味深いのは、05年の1st『I LOVE 1984』から3曲も演っていること。初期ファンへのサーヴィスもあるだろうが、かつてライヴでよく歌っていた楽曲なのかも。しかもいずれも長尺のライヴ・アレンジに変貌していて、バック・メンバーのソロを大フィーチャーしている。最近は稀にしかライヴをやっていないようだけれど、このだけのステージを披露できるなら、もっとライヴの機会を増やして欲しいな。

イヤイヤ、宅録系ミュージシャンにだって、演奏家として素晴らしい人はいるものなのだ。