john tropea_short trip

コロナ禍で発売延期になっている角松敏生『EARPLAY ~ Rebirth 2 ~』にて<Can't Hide Love>がカヴァーされているということで、少し前にディオンヌ・ワーウィックやジェイ・P・モーガンのヴァージョンをご紹介、この曲を世に広めたアース・ウインド&ファイアー版はもちろん、初出のクリエイティヴ・フォース、それにペリー&サンリン(フィル・ペリー)なども演っているよ、と書いてきた。けれど実はもうワン・ヴァージョン、インストで印象に残っていたカヴァーがある。それがベテランのフュージョン・ギタリスト:ジョン・トロペイのテイクである。

収録先は、トロペイの77年の2ndソロ『SHORT TRIP TO SPACE』。彼はニューヨークを拠点にしている人で、70年代初頭からセッション活動を開始。CTIのデオダートのアルバムに参加したあたりから急に注目を集めるようになった。ジャズ系からソウル、ポップス系の歌モノ、ディスコ、割と器用に何でも弾いてしまえる人で、山下達郎の1st ソロ『CIRCUS TOWN』やフュージョン好きの野口五郎のアルバムでプレイしてたりも。

そんなトロペイが、ジャズ・フュージョン系に触手を伸ばしてたT.K.グループ傘下のレーベル:マーリンとソロ契約。2作目に出したのがコレだった。基本的にトロペイ自身のオリジナルが中心で、kydのドン・グロルニックが1曲提供。ウィル・リー、デヴィッド・スピノザそれぞれとの共作が1曲づつ。そして1曲あったカヴァーが、この<Can't Hide Love>だった。クレジットを見ると、“inspired by original Earth Wind & Fire version” なんて書いてあって、そうだろうなぁー、と思う。ホントはオリジナルじゃないけど…

アルバム参加陣は、スティーヴ・ガッド/リック・マロッタ(ds)、ウィル・リー(b)、ドン・グロルニック/レオン・ペンダーヴィス(kyd)、ラルフ・マクドナルド/ルーベンス・バッシーニ(perc)、デヴィッド・スピノザ(g)、ランディ・ブレッカー(rt)、マイク・マイニエリ(vibe)など。ホーン・セクションにはマイケル・ブレッカーやルー・マリーニ、ジョン・ファディスなんかもいる。まぁ、当時のニューヨークの一流ジャズ・フュージョン系総ざらえ、って感じ。

この手の音が最もクリエイティヴだった時代だから、トロペイ中心に参加メンバーにも適宜アレンジを振り分けながら、面白いコトをふんだんに演っている。ガッドとリック・マロッタのツイン・ドラムが<Can't Hide Love>含め3曲あって、今にしたら途轍もなく贅沢。ギタリストのソロ作だけど、あまりギターギターしてないのも気に入ってる。UFOがクラゲになっているのも可笑しいな。