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世界中で猛威を振るうコロナ・ウィルス。日本ではご存知の通り、志村けん、岡江久美子ら著名人が犠牲になってしまったが、海外の大物ミュージシャンにも次々に罹患する者が出ている。闘病から生還したのが、ジャクソン・ブラウンやクリストファー・クロス、マリアンヌ・フェイスフルなど。ジャズ界では犠牲者が多く、ウォレス・ルーニーやリー・コニッツ、バッキー・ピザレリらが鬼籍に入ってしまった。そして英ロック界からは、パンク・バンド:ストラングラーズのkyd奏者デイヴ・グリーンフィールドがコロナ肺炎で3日に逝去。昨年11月に約27年ぶりの来日公演を成功させたばかりだったが、その後心臓疾患で入院。新型コロナウイルスの検査を受けたところ、陽性と診断されたという。入院前から感染していたのか、院内感染に見舞われたのかは、今のところ発表がない。享年71歳。

普段とは違って、今回のコロナに関しては、基本的に思い入れの深いアーティスト以外の訃報は控えようと思っていた。そこにストラングラーズのデイヴ・グリーンフィールド逝く、のポスト。ちょっと意外に思った方もいらっしゃるだろう。

確かにカナザワはパンクは深入りしていない。でも世代的にはモロにその第一波を被った世代で、ロンドン・パンクではセックス・ピストルズやクラッシュ、ダムド、有名どころはみんな日本上陸時に耳にしている。でも(大貫)憲章さんがいくら騒いでも、自分にはピ〜ンと来なかったんだな。その中で「これは!」と思えたのが、このストラングラーズと、当時パンクの衣を纏っていたザ・ポリス、ウルトラヴォックスくらい。クラッシュは『LONDON CALLING』が出て見方が変わった。当時はハード・ロックやプログレからアメリカン・ロック方面に趣味を広げ、ボズ・スキャッグスやジョージ・ベンソンも聴くようになっていたから、パンクとは真逆の方に進み始めていたワケだ。なので、ロンドン・パンクのイデオロギーやエネルギーには共感しつつも、スリー・コードのシンプルなロックン・ロールでは物足りなくて、音楽的に何か面白いトコロが見つけられないバンドはスルーしていた。

でもストラングラーズは違っていた。ジャン・ジャック・バーネルの自己主張の強いベースがグイグイと性急なリズムを引っ張り、ヒュー・コーンウェルがザクザクしたビートを刻んで、その上にデイヴ・グリーンフィールドが妙に熟れたオルガンを乗せていく、そういう唯一無二のスタイルを持っていた。聴き込むようになったのは、2枚目の「NO MORE HEROES』(77年)。一番聴きまくったのが、上掲3rd『BLACK AND WHITE』(78年)。アグレッシヴなベースがリードしていく<Nice 'N Sleazy>とかめちゃカッコ良かったし、<Outside Tokyo>なんて曲があるものもソソられた。確か当時のジャン・ジャックは空手をやっていて、日本と縁が深かったんじゃなかったかな? アルバム未収シングルで、現行CDのボーナス・トラックになっているバカラックの<Walk On By>なんて、まるでドアーズ。そんなこともあって、80年代アタマの 『…MENINBLACK』あたりまではマジメに聴いていたはず。先の日本公演も、その後の評判を聞き、「観ときゃ良かったかな?」とチョッとだけ後悔したりして。

ジャン・ジャンクはフィシャル・サイトやSNSを通じて、「5月3日夜、45年間に渡り僕の親友で長年の同僚だった音楽の天才、デイヴ・グリーンフィールドが、2020年のこの大パンデミックの犠牲者の1人として亡くなった。僕ら、世界中のストラングラーズ・ファミリー全員が悲嘆に暮れている」と発信。ツアーからは引退しているドラムのジェット・ブラック、真っ先にバンドを離れてしまったヒュー・コーンウェルも弔辞を発表している。彼の特徴的なオルガン・サウンドは、ストラングラーズの魅力の要のひとつだった。

改めて、Rest in Peace...