reco_colle 2020.6

第1特集『シティ・ポップの名曲ベスト100 1973-1979』企画に参加、執筆。25人のレギュラー執筆陣が30曲選んで順位づけし、それを集計しての上位100曲。結果は誌面をご覧いただくとして、個々人の30曲ランキングも発表されています。レビュー担当は、ランキングから以下4曲。
 真夜中のドア〜Stay With Me/松原みき
 あの日にかえりたい/荒井由実
 マイ・ピュア・レディ 尾崎亜美
 Rainy Saturday & Coffe Break/林哲司
そしてランキング外のオススメとして、『クリスタル・マジック/紀の国屋バンド』を。

ランキングは総じて順当というか、70年代対象なので、当然大御所が幅を利かせるが、改めて山下達郎さんは強いな、と。100位圏内に10曲、シュガー・ベイブで3曲。その他に竹内まりや、吉田美奈子などプロデュース曲・関連曲もあるワケで。逆に浮き彫りになったのは、はっぴいえんど系では鈴木茂が数曲ランクインしているのに対し、大瀧詠一はゼロ。1973-1979年ということで、『ロンバケ』が外れたのと、この時期はナイアガラのオムニバスやレーベルの方に力を入れていて、ソロでは影が薄かったというコトだろう。

個人的に残念だったのは、高中正義が対象外になってしまったこと。最初は上位10曲に<Sweet Agnes>を入れていたが、編集部から「高中さんはインスト扱い」とのお達しで。実際の記事を見たら、他にもフュージョン系を入れようと目論んでたライターさんが複数いらしたようで、そうだよね〜、と。この時期のクロスオーヴァー・フュージョンは、シティ・ポップと不可分のトコロがある。ジャズ系ばかりじゃなくロック系からインストに向かった人も多かったし、実際にバックを務めていた人たちも少なくないワケでね。茂さんは自分で歌ちゃったけど、タカナカはロクに歌えなかったから(レコードでは歌っている曲もあるが)声じゃなくギターで歌った、というコトなのだ。

だからカナザワにとってのタカナカは、フュージョンではなく、歌のないポップス。『TAKANAKA II』のラテンとファンクとポップスを綯い交ぜにした感じは、明らかにサディスティック・ミカ・バンドの系譜だし、『JOLLY JIVE』なんて、ホントにリゾート・ポップス。どこまで狙っていたかは分からないが、76年の1st『SEYCHELLS』で早くもトロピカル・スタイルにアプローチしていたのだから、ユーミンよりも早かったのだ。

…というワケで、次号レココレは80年代シティ・ポップの楽曲ランキング。その構図もうっすら見えてくるな〜。