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イタリアのデヴィッド・フォスター、と形容したくなるローマ在住の作編曲家/プロデューサー:マルコ・タジアスコが、日本で12年ぶりとなるニュー・アルバム『TOGETHERNESS』を間もなくリリースする。発売は拙監修【Light Mellow Searches】on P-VINE から6月3日に。

日本では12年ぶり、2枚目のアルバムということで、まずマルコのプロフィールを簡単に。 マルコ・タジアスコは1961年ローマ生まれ。子供の頃からTVドラマや映画のサウンドトラックが大好きで、バート・バカラックやヘンリー・マンシーニを知る。16歳で楽器を始め、ジャズ・ロックやフュージョン、とりわけデオダートに傾倒。作編曲家ではクラウス・オガーマンやガーシュインに影響を受け、ロック〜ポップス系ではスティーリー・ダンやドゥービー・ブラザーズ、シカゴ、スティーヴィー・ワンダーなどを愛聴した。クラシックも大好きで、バルトークやラヴェル、ドビュッシー、レナード・バーンスタインをよく聴いたそう。独学で音楽理論を身につけ、20代になるとフュージョン・バンドを組んで地元で人気を獲得。並行してアレンジやプロデュースなどのスタジオ・ワークを始めている。91年に自前のスタジオを立ち上げ、多くのCMやフィルムなどの音楽制作を行なってきた。

初のソロ作は、04年発表『THOUSANDS THINGS』。次いで08年に『THIS MOMENT』を完成させ、同年このアルバムで日本デビュー。これはアンブロージアのデヴィッド・パックがコーラス、かのエリック・タッグが楽曲提供しており、AORフリークに注目された。日本では出ていないが、このあともマルコ・タジアスコ&フレンズ名義のライヴ盤『THINGS AND MOMENTS LIVE』(11年)、Mr.ルービックなる産業ロック系4人組プロジェクトでも17年にアルバム・リリースがある。また09年には、ロビー・デュプリーをフィーチャーしたシングル<Got To Believe This Time>を出していて、コレがなかなかの出来。そして今回、久方ぶりにソロ名義のスタジオ最新作を完成させた、というワケだ。

自分では歌わないマルコゆえ、アルバムでは複数のフィーチャリング・シンガーを迎えることになる。先のライヴ盤も、タイトルから察せられるように最初の2枚のソロ楽曲をライヴで披露したもので、親しいヴォーカリストがゾロゾロ。その有り体は、まさにデヴィッド・フォスター&フレンズのライヴ作品『HITMAN』『 HITMAN RETURNS』さながらだった。本人はハッキリとは口にしないが、フォスターを大リスペクトしているのは、AORファンにはすぐ分かる。

今回のニュー・アルバム『TOGETHERNESS』も、やはりキモはゲスト・シンガーだ。ややロック/R&B色が濃い<Shelter The Love>を歌うのは、ご存知ビル・チャンプリン。そして<Taylor-Made>は、フォスター『RIVER OF LOVE』(90年)に於いて故ウォーレン・ウィービーと共にフィーチャーされていたジェフ・ペシェット。彼はエターナルの全英No.1ヒット<Good Thang >を筆頭に、パティ・オースティンやグラディス・ナイト&ザ・ピップス、アル・ジャロウ、ギャヴィン・クリストファー等などにヒットを提供してきたソングライターでもあり、マニアにはソロ作『SOUL REASON』(02年)で知られている。ちなみにこの<Taylor-Made>は、前作にも協力していたエリック・タッグのデモ集に収められていた佳曲だ。

そしてもう一人チェックすべきシンガーが、ジョー・ピズーロである。セッション・シンガーとして活躍していた彼は、セルジオ・メンデスの83年のヒット<Never Gonna Let You Go>(全米4位)を歌っていたのが有名。その前は、やはりフォスターもサポート参加していたバンド:ヒートの初代シンガーだった。

こうしてビル・チャンプリン、ジェフ・ペシェット、ジョー・ピズーロというフォスター所縁の3人に加え、マルコ周辺の実力派ヴォーカリスト数人が入って、このアルバムは完成している。
「実は2010年にマリブでデヴィッド・フォスターと会う機会があって、<Again>という曲を聴いてもらったんだ。ボチェッリが歌ったら素晴らしいだろうと思ってね。デヴィッドはとても気に入ってくれたよ。でも僕の曲を本格的に売り込むには、音楽出版社やレーベルの問題を避けては通れない。そういうビジネス的事情から、世に出ることなくココまで来てしまったんだ」

最近、リリカルなピアノ・ソロ・アルバムをリリースしたデヴィッド・フォスターだが、AORファンが彼に期待する音は、そうしたモノではないだろう。その意味では、フォスターの歌モノ傑作『RIVER OF LOVE』のスタイル、プロダクツをそのまま換骨奪胎したマルコの『TOGETHERNESS』は、まさに胸のつかえを取り去ってくれるアルバムに違いない。モノクロのアー写も、絶対 御大を意識してるよネ〜