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久々のプログレ系は、イエス〜キング・クリムゾン〜ジェネシス〜UKを渡り歩いた個性派ドラマー:ビル・ブルフォード率いる4人組ブルフォードの、未発表ライヴ+未完に終わったラスト・アルバムのリハーサル・セッション2枚組。2年ほど前に発売されて即完した全部乗せ8枚組のボックス・セット『SEEMS LIKE A LIFETIME AGO 1977-1980』で初めてお披露目された、言わばボックスの目玉商品だった。それが今回、ようやく2枚組として単独リリースされたのである。

ライヴ盤『LIVE AT THE VENUE』は、ヴァージン・レコードが経営していたロンドンのクラブ:ザ・ヴェニューに出演した80年5月のレコーディング。この時ブルフォードは、4月末から週に1回4週連続でこのクラブに出演していて、その2度目の出演がコレ。その4回出演が、いずれもブランドXとのダブル・ビルだったというから、プログレ好きには堪らない。バンド的には、結成メンバーのアラン・ホールズワースが抜け、新ギタリスト:ジョン・クラークを迎えての初アルバム『GRADUALLY GOING TORNADO』がリリースされた直後。彼らには同じメンツでの『THE BRUFORD TAPES』というライヴ盤が既にあるが、アチラは『... TORNADO』制作前のUSツアーでの収録。元々カナダのFMオンエア用に録られた音源で、演奏内容が素晴らしかったことからアルバム化されたものだ。

それから1年ほど後のステージで、内容的にはコチラも濃密。アラン・ホールズワースが脱退する時に後任として推薦したという “アンノウン” ジョン・クラークは、技術的にアランに匹敵するだけでなく、いつもストレスを溜めていた彼と違って、極めて真面目でバンドへの貢献度も高かったそうだ。<Hell's Bells>なんて、デイヴ・スチュワート(kyd)をして「本当にブッ飛んだヴァージョンだ。この曲の理想的な姿だと思う」と言わしめたほど。当然『... TORNADO』から5曲も演っていて、ショウの中盤をガッチリ固めているので、『THE BRUFORD TAPES』とは違った楽しみ方ができる。ただ『THE BRUFORD TAPES』同様、音質はイマイチで、少しマシになった程度。ビル自身のドラムが若干オフ気味なのが残念ではある。

そして抱き合わせの『4th ALBUM REHEASAL SESSIONS』は、まだかなり初期段階の録音で、ビルとデイヴが中心になって、いろいろな楽曲のアイディアを試している、といったところ。ジョン・クラークは付き合っているが、米国人のジェフ・バーリンは1曲の参加に留まる。エレクトリック化という新しい局面が窺えるのが興味深いが、結局は何ひとつカタチにならず、ビルはグループの存続を断念。ロバート・フリップの誘いに応じて、当時はディシプリンと名乗っていた再編キング・クリムゾンに参加することになる。この時ビルはフリップ翁に、ベースはバーリンで、と進言していたらしい。またエレクトリック化の萌芽は、デイヴがパートナーのバーバラ・ガスキンとのユニットに結実させていく。

ちなみに先行で単独リリースされている前3作のうち、ビルのソロ名義で出ていた1st『FEELS GOOD TO ME』と、それがバンド名義になった『ONE OF A KIND』の2枚は、それぞれにCD+DVD (5.1ch)の2枚組。リミックスは現クリムゾンのジャッコ・ジャクジク。リミックスCDの方には、一部楽器の差し替えがあってマニアの間で賛否を呼んでいるようだが、実はまだ聴けてないのよ…