レコードコレクターズ20.7

先月号に引き続き、レコードコレクターズ誌『シティ・ポップの名曲ベスト100』企画に参加しました。今回は1980-1989年編。25人のレギュラー執筆陣が30曲選んで順位づけし、それを集計しての上位100曲。やり方は前回と同じです。結果は誌面をご覧いただくとして、個人ランキング30曲も併せて発表。レビュー担当は、ランキング首位の<SPARKLE>山下達郎(ネタバレ御免)以下、<WHO ARE YOU?>芳野藤丸、<クレッセント・ナイト>南佳孝、<Sweetest Music>竹内まりやの3曲。ランキング外のオススメとして、五十嵐浩晃<トワイライト・ボッサ>を挙げました。

個人ランキングでは1アーティスト2曲まで、という自主規制を施したものの、特集全体としては達郎さんが100曲中11曲。この時期2枚しかアルバムを出していない大滝さんが、アイアガラ・トライアングル含め6曲。まりや、美奈子、ター坊ら周辺を加えると、その一派がどれだけシーンを独占していたかが よ〜く分かる。マトモな対抗馬は、それこそユーミンぐらい。選者の世代、指向性も大きく影響していると思うけれど、ちょっと集中しすぎだろ?、という感想だ。

それから、80年代の10年間が対象なのに、ほぼ8割以上が85年までの作品。しかもそのほとんどがベテラン、ないしは80年代前半にデビューしたアーティスト、もしくはキャリア組の新グループなど。80年代後半にデビューしてランクインしたのは、ピチカート・ファイブ、岡村靖幸、菊池桃子ぐらいか。なるほどシティ・ポップは、80年代前半でほとんど終わっているのが分かる。ちょうどレココレ増刊で出た『JAPANESE ROCK 80's』の対象が83年くらいからスタート、らしいから、日本のポップスのメインストリームがロック方面へ移っていったのがハッキリと。と同時に、シティ・ポップ・シーンの裏方で制作していた方々の多くは、アイドル方面へと移行していく。そこには潤沢な制作費と音楽的・テクノロジー的トライアルの場がたくさん用意されていたからだ。

また興味深いのは、Night Tempoのインタビューに象徴される世代格差について。かくいうカナザワは当然オンタイム世代だけれど、この世代は、クラブ・ムーヴメントからのシティ・ポップ再評価を何処まで皮膚感覚で捉えているかによって、スタンスが大きく違ってくる。カナザワは監修したガイド本『Light Mellow 和モノ』に於いて、当時のヒット曲礼讃を一旦バラし、レア・グルーヴ/ライトメロウならではの価値観で今の感覚にフィットするシティ・ポップを提示してきたつもりだけれど、コレを見ると、やっぱり古い基準も根強く残っていて。例えばNight Tempoが、「<ルビーの指環>は昭和歌謡的」と言ってるのがスゴくよく分かる。だからLight Mellowコンピには、寺尾聰でも、よりAOR寄りのアルバム未収B面曲を使ってきたし、今回も<シャドー・シティ>を選んだのだ。

…とはいえ、こういうランキングに正解はないワケで。「えぇ、コレですかァ〜」なんて言いながら、楽しんで読んでいただければ、と思っている。