tohoku shinkansen.cd東北新幹線45_b

15年に急逝したギタリスト:鳴海博と、現在も作編曲家として活躍中の山川恵津子が、82年にリリースしたデュオ・ユニット:東北新幹線のワン&オンリー・アルバム『TRUE TRAFFIC』が、今また脚光を浴びつつある。07年の初CD化(紙ジャケ)に始まり、アナログ再発、シングル再発、再CD化(プラケ)と進んで、今回はサブスクリプション解禁。今では鳴海さんワークスの作品化も、超マニアというか研究家の方が中心になって進めていて、8月に7インチのアナログ・ボックス(後述)が限定発売される。でもまぁ、昨今のシティ・ポップ再評価で和製AORに開眼した人は、今はコレを知らないとモグリと言われるかも…

女性初のレコード大賞編曲賞を受賞し、総作編曲数1500曲超という山川。山下達郎のツアーにギタリストとして参加し、大作ライヴ『JOY』に<蒼氓>の名演を残す鳴海。共にヤマハのポプコン周りの裏方としてプロのキャリアをスタートさせた2人が、谷山浩子や八神純子のバックで意気投合し、一緒に活動をスタート。82年の発売時はまったくプロモーションされず、八神のライヴ・ツアーでお披露目コーナーが設けられた程度とか。当然アルバムは売れず、セッションに忙しかった彼らはすぐ自然消滅。この名盤は知る人知る存在になった。

カナザワが仲間と作ったガイド本『Light Mellow 和モノ 669』に掲載し、“職人による知られざる奇跡の名盤その2” として紹介したのが、2004年1月(その1は松下誠のミルキー・ウェイ、その3は作曲家:滝沢洋一)。不発だったアルバムだけに当時からレアだったが、その音楽的価値を誰も知らないから、当時は見つければ1000円台で購入できた。ところがガイド本に掲載したところ、あれよあれよと値段高騰。一時は30倍近くまでハネ上がっていたらしい。当時の発売元フィリップスは既に会社がなかったが、原盤がハッキリしていたので、07年に拙監修で初CD化実現。恵津姐(と呼ばせてもらっている)と鳴海さん個々にインタビューして、それをライナーにも反映させている。14年のアナログ再発は、レコードショップのJet Setの企画。でも何とほぼ予約即完で、実際の店頭にはほとんど出回っていないそうだ。それに続く15年の7インチ・アナログ・シングル『SUMMER TOUCHES YOU b/w UP AND DOWN』(上掲右)は、ディスクユニオンでカナザワが監修した【Light Mellow 和モノ 45】シリーズの1枚。82年当時、サンプルで関係者にだけ配布されたシングル盤を復刻して市販に載せたモノだったが、これもアッと言う間に完売してしまった。17年に通常プラケで再CD化され、ようやく落ち着いた感があるが、シティポップ・ブームの折、今回のサブスク解禁により、舞台は世界へ広がっていくだろう。

解禁と同発となった前日のシングル・ボックスとは、『HIROSHI NARUMI WORKS SPECIAL 7inch BOX』3枚組。東北新幹線のシングルのカップリングを変更した『Summer Touches You / 月に寄りそって』、没後に発掘されたソロ作でユニット前の<Summer Touches You(オリジナル)>と83年のデモ音源、後に結成したfrasco名義の未発表音源を収録。かなりマニア度の高い限定ボックスなので、毒を食らわば皿まで(?)、の方のみにオススメ。