benson_pacific fire

集中豪雨で被災された九州方面の方々、深くお見舞い申し上げます。まだ豪雨が続く地域もあるようなので、まずはお気をつけて。ココまで行くと既にコロナどころではなさそうだけど、今後はボランティアが集められないとか、復興にも影響出そう。東京五輪はもちろん、カジノとか静岡が反旗を翻しているリニア新幹線とか、リスクが大きい大型公共事業はさっさと断念して、本当に国民の暮らしを守るような事業に税金を投下すべきでは? 最近は全国各地で毎年のように大規模災害が起きているのだから、新しいハコものを作るより、本当にやるべきコトがある。自分の選挙と支持者への利益誘導ばかり考えている政治家には、早く退場してほしいものだ。

さて、この秋にライヴ・アルバム『WEEKEND IN LONDON』を出すらしいジョージ・ベンソン。既に一部はサブスクリプションで聴けるようだけれど、去年4月に出た最近作『WALKING TO NEW ORLEANS』は未だに日本発売がなく、果たしてライヴはどうなるか、と危惧している。それでベンソン周辺をちょいと徘徊していて、こんなアルバムが出ているのを思い出した。CTIからリリースの『PACIFIC FIRE』。ネ、あまり見覚えのないアルバムでしょ?

パッと見、安っぽいベスト盤/編集盤の類いに見えるアートワークながら、中身はかなり濃密で。純粋なオリジナル・アルバムではないものの、そう言ってしまいたい内容だ。

レコーディングは75年で、CTIの在籍末期。ワーナーへ移籍して名盤『BREEZIN'』を発表する、その前年だ。この75年のベンソンというと、デヴィッド・マシューズをアレンジャーに迎えてCTIでの最終作『GOOD KING BAD』を吹き込んでいるが(発表は翌76年)、これはそれと同時期にレコーディングされたものだ。CTI作品はシッカリとレコーディング・デイトが記されているので確認すると、『GOOD KING BAD』が75年7月上旬と12月上旬の計5日間で、全曲マシューズのアレンジ。『PACIFIC FIRE』は同年7月と10月録音で、3曲提供したロニー・フォスター(kyd)を中心にマシューズ、ベンソン自身もアレンジに参加している。興味深いのは<EM>という楽曲で、前作にはマシューズ編曲で、今作にはゲイリー・キング(b)編曲で収録された。

…というコトは、まず最初のマシューズ・セッションが7月に行なわれ、そこで録り切れなかった楽曲を10月にマシューズ抜きでトライ、更に12月にマシューズが復帰してもう一度、という流れだったのだろう。その長いセッションから6曲がセレクトされて『GOOD KING BAD』になり(89年の再発からボーナス1曲追加)、残りはお蔵入り。それが83年になって残りトラックから7曲が選ばれ、『PACIFIC FIRE』として陽の目を見た。発売のキッカケは、80年代に入ってからのベンソンがますます絶好調だったからだと思うが、CTIも FUSE ONE とかで再興を目指していた時期だから、何かビジネス的事情があったのかも。それに『GIVE ME THE NIGHT』で歌っていた<Moody's Mood>は、実はもうこの時のセッションで歌われていて、『PACIFIC FIRE』でその初録音が聴ける。後から『GOOD KING BAD』にボーナス収録された<Hold On I'm Coming>も、アイザック・ヘイズのヴォーカル曲。世間では『BREEZIN'』の<This Masqurade>でシンガー:ベンソンが開花した、と言われるが、その前哨戦的セッションが、CTI末期にあったのだ。そういう意味では、2枚のアルバムになって世に出たベンソンの75年レコーディングの全貌が、エキスパンエッド・エディションか何かで出ないかな?なんて期待を抱いてしまう。

その他この『PACIFIC FIRE』には、ベンソンとヒューバート・ロウズによる甘美なスパニッシュ・デュオ<Merodia Espanol>や、エディ・フロイド<Knock On wood>のインスト・カヴァーも。参加メンバーには、スティーヴ・ガッド/アンディ・ニューマーク(ds)、エリック・ゲイル(g)、ローランド・ハナ/ドン・グロルニック/ボビー・ライル(kyd)、ブレッカー・ブラザース(hornrd)、デヴィッド・サンボーン/ジョー・ファレル/ロニー・キューバー(sax)等などがクレジットされ、他のCTI作品にもヒケをとらない。早い話、たまたま地味な存在に甘んじただけで、ちゃんとベンソンの他のCTI作品と並べて扱うべきアルバムだと思えるのだ。

それが今なら、17年末発売のリマスター廉価盤でゲット可。意味のないシリーズ共通解説しか付いてないものの、内容的には充分オツリが来るよ。