fleetwood mac_then play onpeter green

朝イチからこの人の訃報がSNSを賑わせている。英ギタリスト:ピーター・グリーンが25日に死去。享年73歳。眠っている間に そのまま息を引き取ったそうだ。枕詞的に語られているのは、フリートウッド・マック創設メンバー、英国が生んだ最も偉大なブルース・ギタリストの一人、等など。確かにそうだ。でもカナザワ的には、正直この騒がれ方には違和感がある。もちろん再評価されるに相応しい伝説的ギタリストだけど、最近は初期フリートウッド・マックの発掘音源リリース以外ではロクに話題になってなかったのに、逝くと突然掌を返したようにコレ…、なんてハスに構えてしまうな。

ピーター・グリーンことピーター・アレン・グリーンバウムは、1946年、ロンドンのユダヤ人家庭の生まれ。幼少期から音楽に対して豊かな感受性を示し、10代初めからギターを弾き始めた。60年代半ば、後にキャメルを結成するピーター・バーデンス(kyd)のグループ、ピーター・B's・ルーナーズに参加。ドラマーのミック・フリートウッドに出会っている。その後66年にエリック・クラプトンの後任として、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに加入。"The God" と呼ばれたクラプトンに対し、彼は “The Green God” と謳われた。翌年には自分のバンドを結成すべく、ブルースブレイカーズを脱退。同じ釜の飯を喰ったミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーに声を掛け、68年にピーター・グリーンズ・フリートウッド・マックとしてデビューした。そう、フリートウッド・マックとは本来、ピーター・グリーン主導のホワイト・ブルース・バンドだったのだ。そしてブルースブレイカーズでピーターの後任ギタリストを務めるのが、ローリング・ストーンズ参加で有名になるミック・テイラーであった。

ブルース全盛だった当時の英ミュージック・シーンで、マックはチキン・シャックやサヴォイ・ブラウンと共に3大英国ブルース・バンドに数えられた。サンタナの代名詞になる<Black Magic Woman>、ジューダス・プリーストで有名になる<The Green Manalishi>、ゲイリー・ムーアがカヴァーした<Stop Messin' Round>は、いずれもマックの初期ナンバー。当時ピーターが弾いていたレス・ポールは、彼が音楽界から遠ざかっていた時期にゲイリー・ムーアの手に渡り、メイン・ギターとして使われている。

マック自体も<Oh Well>や<Albatross(あほうどり)>のヒットを放ったが、天才的ながら精神的にモロく、ドラッグにもハマってしまったピーターは、自らをブルースの世界には留めなかった。自分とエルモア・ジェイムス神のジェレミー・スペンサーという2人のギタリストがいるのに、更に若いダニー・カーワンを加入させたのは、グレイトフル・デッドの影響からだという。上掲左の『THEN PLAY ON』は、ピーター在籍期のマックのラスト・アルバム(69年)。これは最早ブルース・アルバムではなく、拡散していくピーターの曲作りをそのままパッケージしたかのような、支離滅裂なクセに妙に一貫した不思議なムードの作品になった。オリジナル盤には<Oh Well>は未収だったが、ヒットしたことで再発盤に追加されたり、いろいろ。2013年のリマスター再発CDでは、<Oh Well>2ヴァージョンと<The Green Manalishi>など4曲がボーナス収録されている。

右の『END OF THE GAME』は、マック脱退直後の70年に出た実質的初ソロ・アルバム。ただし当人は病んでいたため、ギター・インストのジャム・セッション集のような形になった。なので初期マックのような端正なブルース・ギターが聴けるワケではなく、ツラツラとした音の連なりに時折刃を剥く、というタイプの作品。ジェフ・ベック『BLOW BY BLOW』が出た時、この2枚を並べて絶賛する風潮があって、自分もそれで気になって後年手にしたアルバムだった。だけどこの手の音は、実際に自分で演奏を演奏する手合いでないと、良さが分からないかもしれない。ピーンと張り詰めた空気はあるけど、構築されたリフやアレンジは存在していないから、ウェル・プロデュースドな音楽に慣らされてしまった耳には、取り付く島もないと感じるのでは? そしてピーターはそこから10年近く、70年代の大半を棒に振る。そのため知名度的には、クラプトンやミック・テイラーの後塵を配するワケだ。

79年に復活し、以後はスノーウィー・ホワイトやコージー・パウエルらと絡みながら、伝説のギタリストとしてマイペースに活動を続けたピーター・グリーン。でも復活後は何だか枯れすぎてしまって、個人的にはピンとこなかった。最近は、盟友ミック・フリートウッドが崇敬の念を示し、この2月に豪華ゲストと共に特別公演『Mick Fleetwood & Friends Celebrate The Music Of Peter Green and the early years of Fleetwood Mac』を開いたばかり。できたらもう一度、ガツンとしたブルース・ギターを聴きたかったな…

Rest In Peace...