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『LIGHT MELLOW 庄野真代』を組んだり、往年のヒット作の再発プロジェクトを監修したり、『LIVE Light Mellow VOL.1』にも出演して戴くなど、何かとご縁のある庄野真代さん。タンゴ・ジャズ・グループ:JACROTANGSと共演した前作『CINEMATIQUE〜シネマティーク』から7年ぶりのニュー・アルバム『66』が届いた。でも前作はカヴァー曲とセルフ・カヴァー、新曲が混在する企画色の強いアルバムだったから、純然たるオリジナル新曲だけで構成されたアルバムとなると、一体いつ以来なのだろう? それぐらい積極的に攻めてる真代さんがココにいる。

新作制作中なのは耳にしていたし、誰それに曲を書いてもらった、今度はあの人に頼んでみる、なんてプロセスは断片的に聞こえていたけれど、いざ白盤サンプルが届いてビックリ。収録全15曲、時間にして60分超。今ドキ、これだけタップリしたアルバムを作ってくれるベテラン、なかなかいないよ

プロデュースは盟友関係にあるサントリーこと坂本洋。「人生と旅」をテーマに作った、とのことで、タイトル曲は“ルート66”と実年齢を引っ掛けたモノになっている。でも真代さん、ホントにアクティヴな女性で、いつもとても溌剌として若々しいんだな。

実際このアルバムも、のっけの<大人の女になる方法>から、マイクロスター佐藤清喜の作編曲によるビッグ・バンド・スタイルのポップ・チューン。しかもラインナップは白井良明(g)、伊藤広規(b)、宮崎まさひろ(ds)、春名正治(sax)など、豪華なラインアップで度肝を抜かれる。うわぁ〜真代さん、本気じゃないの〜

ビートルズ<Rain>まんまのサイケな2曲目<66>は、当然ビートルズ・フリークの杉真理 提供曲と思いきや、実はサントリー作編曲。主要メンツも全曲とほぼ同じで、ポール・マッカートニー張りにグルーヴしまくるベースは伊藤広規。当の杉さんは、ファド風の4曲目<名前のない国>を書いていて、そこにもビックリ。

でもその間に挟まれた<TABOO>が、またさりげなく印象に残る曲なのだ。詞曲は丸山圭子。アァ、なるほどね〜 彼女はもう1曲、儚い味わいの<刹那 - Setune>を書いているけど、カナザワ的には断然<TABOO>の方が魅力的だ。

他にも稲垣潤一とのデュエット<星はまたたく>、テミヤンこと宮手健男が書き下ろしたライト・ボッサ<歩いてゆこ>、太田裕美の詞に真代さんが曲をつけた<希望のうた>、鈴木雄大との共作<愛のうた>など、話題になりそうな旧友たちとのコラボレイトが盛りだくさん。個人的には、雄大さん作<愛のうた>の完全無欠のメロウAORぶりがツボ。コレ、メチャメチャにヤバイっす…

そしてアルバム後半は、真代さん自身が作詞・作曲したナンバーを中心に構成。中でもセンチメンタル・シティ・ロマンスの細井豊がクロマチック・ハーモニカを吹く<So Far So Good>のブルージーな感じが秀逸だ。もともと歌の上手い真代さんだけど、こういう曲の表情の豊かさが まさにベテランの証し。ソウルフルに歌い込むことができるシンガーは他にいくらでもいるだけど、サラリとポップに軽く突き放しながら、それでいて深さを表現できる人はそう多くはない。そしてアカペラでスタートするエピローグ<Smile>には、サーカスの叶高がヴォーカル参加、ウクレレは何と真代さんが自分で弾いている。パーカッションはエンジニアでもある安部徹さん。実は sparkling☆ cherry で散々お世話になっている方だ。

ワールド・ミュージック的エッセンスは、<飛んでイスタンブール>や<モンテカルロで乾杯>のヒット以来の彼女の持ち味。それが程よいバラエティ感を生み出し、60分超を飽きさせない。個人的には、もう少し絞り込むと より濃縮されたかな?などと思うが、ヴォリューム感では一長一短。新曲ばかりで固めた割にはシッカリジックリ作り込んでいるし、ベテラン作品にありがちなチープさを微塵も感じさせないのが素晴らしい。ズバリ、かなりの力作ながら、肩の凝らない作りになっている。コレを聴かずして、シティ・ポップのベテランたちを語ること勿れ。