yes_return trip

やるべきコトはいっぱいあるが、どうもエンジンが掛からないので、しばしイエスで現実逃避中。こうも暑いとやっぱり集中力が上がらず、どうしてもダレますわね… ハード・ロック系ではなく、イエスのように空調が効いてるような密室系プログレに手が伸びたのも、やはりこの暑さゆえ、という気が。そこで目についたのが、昨年末から一般流通がスタートした『FLY FROM HERE:RETURN TRIP』。11年にリリースされた何度目かの新生イエス第1弾『FLY FROM HERE』の、いわゆるリヴィジッド盤として18年に発表され、ライヴ会場や一部通販でのみ流通し、速攻で入手困難に陥っていた作品だ。

改めて『FLY FROM HERE』がどういう作品だったか振り返っておくと、病欠のジョン・アンダーソンに代わって、イエス・トリビュート・バンド出身のヴォーカリスト、ベノワ・デヴィッドが新たに参加。クリス・スクワイア(b)、スティーヴ・ハウ(g)、アラン・ホワイト(ds)の3人に、kydジェフ・ダウンズも復帰した。更にプロデュースに2代目シンガーだったトレヴァー・ホーンが就き、一部バック・ヴォーカルを歌うという、半ば『DRAMA』の変則再現みたいな陣容になっていた。しかもメイン・タイトル曲は、トレヴァーとジェフの元バグルス組が、『DRAMA』時代に原案を組んだ組曲で、未完成のまま眠っていたものだという。それがトレヴァーのプロデュース招聘で俎上に載り、ジェフ復帰で本格的に陽の目を見た。

そうした経緯で産み落とされた『FLY FROM HERE』だから、ベノワ・デヴィッドがメンバーから外れた時点で、トレヴァー・ホーンのヴォーカルに差し替えるプランが浮上したのだろう。直接はアラン・ホワイトが言い出しっぺらしいが、『DRAMA』ラインアップの完全再現でトレヴァーの自由裁量の範囲が一気に大きくなった。『RELAYER』が大好きだというトレヴァーは、全曲ヴォーカルを歌い直した上で『FLY FROM HERE』を『RELAYER』に近づけるべく、スリリングにブラッシュ・アップ。新規パートを加えた部分もあれば、ある所では大胆にソロ・パートをカットし、またある箇所ではソロを長く延ばし、またある所では前回エディットで切ったのをフル・ヴァージョンに戻したり…と、様々な手管、実力派プロデューサーらしい判断力で、アルバムをより魅力的なモノにしている。

しかしトレヴァー・ホーンという人は、一般的評価の高い『危機(CLOESE TO THE EDGE)』や『究極(GOING FOR THE ONE)』に負けず劣らず『RELAYER』や『DRAMA』が大好きというカナザワのセンスに似たモノを持っているのだなぁ…