stones_goates delux

ローリング・ストーンズ『GOATS HEAD SOUP(山羊の頭のスープ)』(73年)のスーパー・デラックス・ボックス、既に我が家にも到着しています。カナザワ的には、アナログ盤はオリジナル日本盤があるので不要。注目度が高い "Brussels Affair – Live 1973" の音源も、"FROM THE VAULT"シリーズの『THE MARQUEE CLUB LIVE IN 1971』に抱き合わせで付属していたので、もう耳にしている。なので目的は、disc 2 の Rarities & Alternative MixesとサラウンドのDVD。

未発表トラックからは先行して<Criss Cross>、追ってジミー・ペイジが参加した<Skarlet>(ベースもブラインド・フェイスのリック・グレッチ)の音源が公開されているが、他に完全未発表曲がもう1曲<All The Rage>を収録。更に貴重なデモ・テイクやオルタナティヴ・ミックスが disc 2 にまとめられている。未発表曲は、とてもお蔵入りしてたとは思えぬカッコ良さで、ストーンズ好きなら絶対に抗えないレヴェル。<Dancing With Mr D>と<Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) >、 <Silver Train>のグリン・ジョンズ・ミックスも聴きモノかな。まだキチンと聴き比べできてないけど…。日本盤ボーナス・トラックにはもう2曲、<100 Years Ago>と<Hide Your Love>のグリン・ジョンズ版が追加収録されている。

このアルバムはストーンズにとって初めてのジャマイカ録音で、30曲近くレコーディングされた、なんて話もある。実際ダイナミック・サウンドでレコーディングはされたものの、リサイクルに回って、後年陽の目を見た曲があるそう。<Through The Lonely Nights>や<Waiting On A Friend><Tops><Short And Curlies>あたりがこのパターンらしい。ビリー・プレストン、ニッキー・ホプキンス、イアン・スチュワートら、当時のサポート鍵盤陣もジャマイカ入り。72年12月中旬にはジャマイカでのセッションを終わらせ、翌年1月の極東ツアーへ。この一部が幻の日本公演である。そして仕上げは5月のロンドン、オリンピック・スタジオ。リーバップ(トラフィック)のパーカッションやストリングス、ホーンのダビングはココで行われたそうだ。

ジャマイカ録音だからといってレゲエ曲がないのはストーンズらしいが(実はそれっぽい曲があったがボツになった)、作風はむしろ前作『EXILE ON MAIN ST.(メインストリートのならず者)』 の延長と言える。しかもスワンプ風味のネバっこさは、カリブの陽光に灼かれてか、少しだけ軽く乾いた感じに。それに輪をかけたのが、ストーンズ最大のバラード・ヒット<Angie>の存在だ。ピュアなストーンズ・ファンには賛否が割れる曲だけれど、これでファン層を広げたのは紛れもない事実。かくいうカナザワも、初めてリアル・タイムで買ったストーンズが、<悲しみのアンジー>のシングルだった。<Tumblig Dice>や<Brown Sugar>はラジオで聴いて知っていたけど、幼気な中学生が小遣い叩いて買うのはちょっと厳しかった。でも『山羊の頭…』のアルバムまでは買うに至らず、初のストーンズLPは『IT'S ONLY ROCK'N ROLL』になった。

濃ゆいアルバムが連続する70年代ストーンズにあって、『山羊の頭…』は、<Angie>を除いて少し印象の薄いアルバムではある。それでもジャマイカ録音の成果は、少し後になってから表出。IT'S ONLY ROCK'N ROLL』の<Luxary>は、表向きストーンズ流儀のロック・チューンだが、ドラムはずっとリム・ショットで、パーカッションもカリブ風味。そして後続の『BLACK AND BLUE』では、レゲエ・チューン<Cherry Oh Baby>をカヴァーすることになる。そのプロセスは、ヘタウマながらリズムに自覚的なストーンズの面々が、『山羊の頭…』をキッカケにして、少しづつレゲエやカリブの雰囲気に馴染んでいった証左だろう。もちろんその背景には、ボブ・マーリーの存在や、英国で顕著になったU.K.ブラックの台頭もある。そんなことを考えて聴いていると、このアルバムにも一層の愛着が湧いてくるのだ。

あぁ、サラウンドのDVD-Audioを、早く爆音で聴きたいな。