randy goodrum_redeye

ランディ・グッドラム久しぶりのソロ・アルバムは、何と1994年のセルフ・カヴァー集
『WORDS & MUSIC(つらい別れ)』以来26年ぶり。
今回はラリー・ウィリアムス(元シーウインド)とのコラボレイト、
マイケル・ランドウ、マーカス・ミラー、ヴィニー・カリウタ、ブライアン・ブロンバーグらの参加による、『FOOL'S PARADISE』張りの
ジャジー・ポップでハイブリットな一作。
ジェイ・グレイドンとのJaR セカンドを待ち侘びる貴方に、
矢尻のような会心の一撃が突き刺さる!


AOR好きには言わずと知れた名ソングライター、ランディ・グッドラム。最近はジェイ・グレイドンとのJaR、ブルース・ガイチやデイヴ・イニス(レストレス・ハート)と組んだGIGと、プロジェクト作品が相次いだ。またCWFことチャンプリン・ウィリアムス・フリーステットへの楽曲提供も記憶に新しい。ファンの多くはおそらく、首を長くしてJaRの2作目を待っていることと思うが、半ば唐突にランディのソロが先に出ることになった。JaRは、レコーディング(録音)終了、というニュースから既に3年以上経っているので、「あれ、コッチが先?」と思った方、きっと多いんじゃないかと思うが、ランディに拠れば「ようやくミックスに入るらしい」とのこと。きっとチマチマとダビングや修正を繰り返していたのに違いない。ジェイの才能のスゴさは誰もが認めるところだが、そこまで完全主義を貫徹されると、何だかななぁ…、と思ってしまうな

それにしても、今回のランディのパートナーがラリー・ウィリアムス(ex-SEAWIND)だと知った時は、かなり意外だった。80年代後半、デイヴ・グルーシンのGRPで互いに近いところにいたし、アル・ジャロウを囲んでもまた然り。その頃ファイルのやりとりで初めてラリーと共作したのが、ここにも入っている<Gravity>だったらしい。でも実際にface to faceで会ったのは、数年前にアナハイムで行われたNAMM SHOW(世界最大級の楽器イベント)が初めてで。そうしたら…
「私たちは好きな音楽や作りたい音楽の嗜好がとても似ていた。私はポップ・ソングの作曲で大きな成功を掴んだけど、そもそも音楽人生の出発点はジャズ・ピアニストだった。私の音楽愛のコアは、ジャズに深く根差しているんだ。だからラリーと私には多くの共通点があり、彼と共作する楽曲は、私自身の楽曲と相まって“ランディ・グッドラム・ソロ・プロジェクト”の素晴らしい核になると気づいたんだ。それでラリーに、アルバムを共同プロデュースしてみる気はないか、と提案してみた。彼は二つ返事で快諾してくれて、それが『RED EYE』に結実したのさ」

ブックレットのセルフ・ライナーの冒頭にも、“この音楽をジャンル分けするならインテリジェント・ポップ / ジャズ” というランディの言葉がある。したがって、自分が書いたヒット曲のセルフ・カヴァー集『WORDS & MUSIC』やその前の『CARETAKER OF DREAMS』『AN EXHIBITION(キリング・タイム』)』のような如何にもソングライター然としたアルバムより、エリオット・シャイナー制作でスティーリー・ダン風に聴かせた1stソロ『FOOL'S PARADISE』に近い。参加メンバーも、ラリーはもちろん、マーカス・ミラーやヴィニー・カリウタ、マイケル・ランドウ、ブライアン・ブロンバーグといったお馴染みの敏腕ミュージシャンたちが名を連ねる。意外なところでは、キング・クリムゾンやポーキュパイン・ツリーで活躍するプログレ系ドラマー:ギャヴィン・ハリスンも。参加者リストはランディとラリーの合意によるもので、何か特別な狙いやゴールを設定して作ったのではなく、楽曲が揃い、2人が集めたミュージシャンたちによって自然発生的に生まれた、ということだ。

『RED EYE』というタイトルは、“red eye flight”と呼ばれる飛行機の夜行便から。日本盤にはボーナス・トラックなどないけれど、解説にはシッカリとランディの言葉や楽曲解説を盛り込んであるので、それをヨロシクと…。来週16日の発売です。